雨宿り




雨が急に降ってきた。
島の人々は皆、傘をさしていた。
傘を持ってきてない俺は鍛冶屋の屋根の下で雨が止むのを待っていた。

上陸した島で刀たちに導かれて鍛冶屋を訪れた。そこで刀を預けたところまではよかった。けど、宿へ戻ろうと思った矢先の雨。
とても激しく降っていたからすぐに止むだろうと思っていたのに雨はなかなか止まない。

雨は好きじゃない。
昔ついた傷が痛むから。
前に鷹の目に袈裟懸けに斬られた傷がズキズキとする。他にも、腕に無数についたのとか、リトルガーデンで自分でつけた足のとか色んなところが少しずつ痛い。

早く、止まねぇかな。

どんよりと曇った空を見上げながらぼんやり思う。
じくじくと全身が痛い。なんてことないものだけど、何もすることがないからその痛みが嫌に大きく感じる。

肌にじとりとしめりけが纏わりつくのも嫌いだ。雨の匂いも嫌い。
雨は、嫌いだ。


「おーいゾロ!」
「……コック?」

俺を呼ぶ声がして見れば傘を差したコックがいた。
なんでお前がここに?

「お前がなかなか戻ってこないから迎えに来た。戻るぞ」
「……なあ、コック」
「ん?どした」
「俺、雨嫌いだ。」
「…そうか」
「痛いし、気持ち悪ぃ…」
「うん…」

こういう時、どうすりゃいい?

「…いてぇのも気持ち悪ぃのもどうしようもねぇけどさ」
「……ん…」
「感傷的になってるんだったらちょっとは俺に甘えたらどうだ?」
「…感傷的…?」
「うん。お前、泣きそうだぜ?」
「……俺が…?」
「そうだ。だから、甘えろよ」

甘えるってどうしたらいいんだろう

「宿に着いたら甘やかしてやるから、さっさと行くぞ。靴がもうぐっちゃぐちゃなんだ」
「…ん」

コックの差す傘に入る。
大の男2人が並んで入るから肩が濡れるけど、気にしない。
なんとなく、手を繋ぎたくなった。
なんとなく、抱きしめられたくなった。

こういうのを甘えるって言うのか?

「ゾロ、俺がいるからさ」
「……うん」

少し痛みが和らいだ気がした。
コックの匂いで雨の匂いが薄らいだ。
気持ち悪さはあまり変わらないけど…


雨はもうすぐ止むのかな?












雨の日はゾロにとってくいなのお葬式の日が思い出される日ではないかなと思い、勢いで書いたサンゾロでした。
筆者はゾロになかなか「サンジ」と呼ばせたく無い派です。(だから何)



Novel

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -