※ユニットドラマCDの内容色々捏造してたり。
「まずはトッキーからかな」
嶺二が熟睡しているであろう後輩2人の内の1人、ひとまずは起こしやすそうなトキヤのベッドへ近寄り、手にした氷を首筋にぺたりとしようとした時だった。
もぞり、と動いたトキヤのベッドからちらりと赤毛が覗く。まさかともう一方のベッドを見ていると成程もぬけの殻である。
「な、なんで!?なんで!?」
「ん…?」
思わず大声を出したからか、トキヤは眠たそうに瞼を持ち上げた。なんだ寿さんか、と若干寝ぼけている頭で考えて、再び瞼を閉じようとする。しかしそれを嶺二が止めた。
「ま、待って待って待ってトッキー!」
「…なんですかこんな真夜中に。迷惑ですよ」
早口でそう言ったトキヤは状態を起こそうとして、それがうまくいかないことに気付く。ん、と布団をめくってみれば、自分の腰にしっかりと巻き付く音也の腕があった。ぽかんとそれを見てから、嶺二を見る。
「そ、それ、なに?」
トキヤはさぁっと顔色を変えて、叫んだ。
「音也!何をしているのですあなたは!」
引きはがそうとするも、音也の力は緩まない。その内に薄く瞼を開いた音也にトキヤはほっとして、離してください、と言った。
「ときやー」
「ええ私はトキヤですよ。いい加減離しなさい音也」
「やーだよー」
「ちょ、」
寝ぼけているらしい音也はトキヤを引っ張って自分の腕の中へ収める。もうこれは手が付けられないと、嶺二に助けてと視線を送れば、嶺二は笑顔でこの光景を見ていた。
「…あの、寿さん」
「仲いいんだね!混ぜて!」
「何を言っているのですかあなたまで!」
嶺二がベッドの中に入り込んできて、同じように腰に手をまわす。と、トキヤの頭越しに見える音也の顔がむすっと膨らんだ。
「嶺ちゃんでもトキヤは渡さないから!」
「寝ぼけたこと言ってないで音也は起きなさい!」
「起きてるよ!」
「起きてないでしょう!あなたがあんな短時間で覚醒できるわけがありません!」
「ちょっと2人とも!2人の世界に入らないでよ!混ぜてよ!」
「だからあなたも、音也も、ここは私のベッドですよ!」
「いいじゃんトキヤ、俺トキヤと寝たい」
「うんうん。仲良きことは素晴らしきかな」
いい加減にしなさい…と言ってみるも、動く事が困難なこの状態ではどうしようもできない。結局3人が寝るには少し狭いこのベッドで、朝まで過ごすはめになった。
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