『今日は寒いから星がよく見えるだろうなぁ』

藍色の着物の上に羽織る物を着て、外に出た。
私は星が好きだ。
星はいつも同じ場所にあるけど、何より綺麗だから。
家の戸を開けると、寒い空気が一気に身体を包んだ。

『今日はやっぱり寒い…』

上に羽織ってきてよかった、と袖を握るように持つと、私はいつもの場所に向かった。
いつもの場所とは、少し広い平原だ。
そこは何も邪魔なものがないからよく見える。

『今日は何だか賑やかね…』

人に見えないものがいつもより多い気がする。
月明かりがあるだけの真っ暗な空間に光るものがたくさん飛んでいた。

『なにか、あるの?』

それに聞いても口を聞くわけがない。
私は少しの不安を抱きながら、夜空を見上げた。

『…あれは…』

いつもの場所にはない星がある。
星の場所は毎日見ているから覚えた気だつたが、あんな星はあっただろうか。

『…緑の星』

惹かれたようにジッと見ていると、一瞬目の前が眩しくなった。
チカチカと眩暈のする目が見たのは、周りに飛ぶものが光から逃げるように去って行くのだった。

『…なんだったんだろ』

空を見上げると、あの星はもうなかった。

『…寒…』

身体が冷えてきたから、そろそろ戻ろう。



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