冥王星SS3
○
目が覚めると、彼女はもう私の腕の中にいなかった。泣きつかれた彼女は私にもたれかかって眠ってしまったのだ。
「遅刻だ。」
余韻に浸るように特別急がず学校へ行くと、冥王星ちゃんはいつものようにそこにいて、皆の中で笑っていた。私はその笑顔に影が無いように感じて、昨日のことは夢ではなかったのだと確信した。もしも夢だとしても、私の中の思い出であればそれでいい。彼女と歩いた記憶、彼女が私を頼ってくれた記憶。
「おはよう、お寝坊さんだね。」
「藤川、おはよう。」
「昨日はどうだったの、あのあと」
「…別に」
「なんで笑ってるの?ねえ、おしえてよー!」
彼女が笑った気がした。
おわり
後書き
前|目次|