彼女の3



「やっぱり鍵開いていないよ」
「残念だね」
「じゃあ、次は―――」

私たちはそのあとも校内を歩き回っていたが、授業が終わる寸前になって見つかってしまった。授業の終わりのチャイムを聞きながら先生の後ろを歩く私たちは、肩を落としてあからさまに落胆していた。静かだった校内が目を覚ましたかのようにざわざわと音で溢れかえっていく。廊下に出てきて目を留める生徒たちに、私たちのしていたことが見抜かれてしまうような気がして顔が上げられなかった。





放課後、なんとなく居づらい教室をいち早く抜け出して、三人でとぼとぼ歩いた。
暫くの間、誰も何も言わないまま、ただただ歩いた。

「…後悔している?」
友人の問いかけに、私たちは顔を見あわせた。私は今日の非日常とそのドキドキを思い出す。笑いそうになるのを必死でこらえて二人に目を向けると、二人も同じなのか変な顔をして他二人の表情を伺っていた。
それに気付いた私たちはお腹を抱えて笑い出した。友人はお腹を抱えてくの字になったし、彼女は私の手を引っ張って周りをぐるぐる回ろうとした。四時間目が始まるチャイムが鳴った時のようにおかしくて、涙が出るほど大笑いをした。周りの人が見たら変な人だと思われただろうと後々恥ずかしくもなった。


それから私たちは遠回りをして帰ることにした。
土手に座りこむと私たちはまたくだらない話をした。
「さっきお腹がよじれちゃうかと思ったよ。」
「おかしかったね」
「それにしても指導の先生あんなに怒って、また眉間のしわ増えたんじゃない?」



後書き

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