7
「おめでとうございます」
結婚式に、小さな花束をあげた。
プレゼントをあげたいけど、私からもらっても迷惑かな。
そう言うと、ヴィムが花でもあげたらいいと言ったのだ。
レイモンは泣いて喜ぶだろうと。
「ありがとう、ミレイユ」
本当に感極まったように泣きそうな顔をして、レイモンはぎゅっとミレイユを抱き締めた。
ミレイユは頭が真っ白になる。
彼の隣に立つ花嫁の存在に焦って離れたが、アデリアは呆れたような顔で二人を見守っていた。
「ミレイユ。結婚しても、俺たちはずっと家族だからな」
「……はい」
「今までありがとう。これからもよろしくな」
こちらこそありがとうございます。
そう言おうとして、声が詰まって涙が溢れた。
レイモンが笑ってミレイユの頭をぐしゃぐしゃと撫でる。
大きな手。
ミレイユが大好きだった手だ。
悲しいも寂しいも全部溢れ出て、ただただ胸がいっぱいになった。
感謝の気持ちしか浮かばなかった。
幸せそうに笑う大好きな人と、彼が愛している美しい花嫁。
ミレイユは、ようやく前向きな気持ちで隣に並ぶ二人の前に立つことができた。
「ミレイユ」
後ろで控えていたヴィムがミレイユを呼んだ。
振り向いたミレイユの背中を、レイモンが彼のほうへ促すように押し出す。
ミレイユは二人のほうを見てぺこりと頭を下げ、微笑むレイモンに背を向けてヴィムのほうへ駆け寄った。
← | →