結婚式には、平気な顔でいられるだろうか。

立てた膝に腕をのせ、ミレイユはその中に顔を埋める。

ちゃんと笑っておめでとうと言えるだろうか。
二人を祝福して、綺麗な感情でいられるだろうか。

じっと凪を待つように、ミレイユは気持ちが荒れるのを黙って耐える。

アデリアは美しい花嫁になるだろう。
レイモンは世界一幸せな顔で微笑むだろう。

うらやましいなんて思わない。
自分がその場所に立ちたいなんて思ったこともない。
だけど、二人を見ているとどうしようもなく泣きたくなる。

きっと、子供じみた独占欲だ。
ずっと私を見ていてほしい。
私だけのレイモンでいてほしい。
そんな感情は、妹が兄を取られて駄々をこねているようなものだ。
そう思い込むしかなかった。

本来なら、見守ることすら叶わぬはずだった立場。
レイモンを傍で祝福できる場所をもらえただけでも感謝するべきなのだ。

なのに、どうして。

ちゃんと二人を見守って、立っていられるかどうかも心配だった。

ミレイユは腕に爪を立てる。

私はここにいらない子だ。
二人の邪魔にならないように、早く出て行かなければ。

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