10


「会いたかったんだ」

そっと頬に触れられて、ミレイユは驚いて動けなくなる。

「ずっと、この姿で会いたかった。君の名前を呼びたかった」

金の瞳がミレイユを見つめる。
ひんやりとした白い指先が頬を撫でる。

「ずっと君に触れたかった」

その指先が下りてきて、ミレイユの膝にのせた手に触れた。
ヴィムはそのままミレイユの手を持ち上げて、自分の唇に当てる。

そんな経験のないミレイユは、思わず悲鳴を上げそうになった。
先ほどのキスまでフラッシュバックして、ミレイユは顔を真っ赤に染める。

「ちょ、ちょっと待って……!」

「ミレイユ」

ヴィムの顔が近づいてくる。
ミレイユは驚いて声を上げたが、手を掴まれて逃げられずにぎゅっと目を瞑る。

「……もう、駄目だ」

耳元で声がしたのと同時に、ミレイユの体をずるずるっとヴィムの頭が滑り落ちた。
膝に頭がのって、動かなくなる。
状況が理解できずに、ミレイユは恐る恐る目を開いた。

「ヴィム……」

ミレイユの膝に頭を乗せて伏せているのは、探していた金の獣。
体力が尽きたように呼吸で体を上下させて眠る彼の頭を、ミレイユは怖々と撫でてみる。

慣れた感触はすぐに手に馴染んで、ミレイユはようやくほっと息をついた。
しかし、ベッドの下に落ちているのは、紛れもなく今までそこにいた青年の衣服で。
ミレイユは何度か獣と衣服を見比べ、現実を確かめてぐらりと眩暈を覚えた。

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