私と透さんは休日が合わないので、休みが重なる祝日をとても楽しみにしている。
そして、来週訪れるその休み。久しぶりに一日中一緒にいられる。

ということで、今日は透さんの家でプランを立てているのだ。

「どこ行きましょうか。遊園地?動物園?水族館?」

「お子様だねー泉ちゃん」

雑誌を見ながらうきうきと透さんに提案すると、馬鹿にしたようににっこりと笑われる。
お子様。
その言葉がぐさりと胸に突き刺さり、私は頬を膨らませる。

「じゃあどこがいいんですか。高級レストランにでも連れてってくれるんですか」

「泉ちゃんがお望みなら」

嫌味で言ったつもりなのに、余裕な表情で頷かれて私は口を噤む。
この人に反論するだけ無駄だった。
私は諦めて視線を雑誌に戻す。

「ああ、そうだ。どうでもいいんですけど……」

「どうでもいいなら喋んないで」

話しかけた途端再び機嫌を損なうようなことを言われ、私は無言で透さんを睨む。

「どうでもよくないんですけど、前にいつも行ってたコーヒー屋さんが閉まったって言ってたじゃないですか」

「ああ、うん、そうなんだよ」

つんつんと言う私をくすくす笑いながら、透さんが頷く。

「ありましたよ、今日ここに来る途中に。移動したみたいで、お店大きくなってました」

「ほんとに?」

軽く目を見開いた透さんが、嬉しそうに笑う。
どきり。
私は彼のこういう純粋な笑みに弱い。

「よし、じゃあ今度の休みはそこで。けってーい」

ぱちぱちと手を叩かれて、はっと近場に収められたことに気づく。
口を開こうとすると、文句を言う間もなくぱたんと雑誌を閉じられた。

本気で喋らなければよかった。
私が拗ねる一方、透さんは満足気に私の頭を撫でて笑った。

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