おれの身体をしつこく舐め回す、柔らかくて熱い舌。あちこちに吸い付いて痕がたくさん散らばっている。明日もステージあるのに、と思い、この身体を誰かに見られると思うと興奮して余計に勃ってしまった。
「……相原さん、ひとりで想像して楽しむのはずるいです」
「別に……」
先を小刻みに舐める舌。手で支えてもらわなくても硬く反り勃っている、それ。だらだらとだらしなく汁が溢れるのがわかる。逐一舐め取り、健康的な味がします、と感想を口にした。
伸びあがってきてその口のままキスをする。片手は、尻の奥を撫で回した。指がぬるっと入り込み、身体の中をかき回す。顔を見つめられたままいいところを掻かれてしまい、恥ずかしいのに気持ちがいい。恥ずかしいのが気持ちいい。
「可愛い顔してます」
可愛いです。と柔らかな笑顔で言う。子どもを褒めるみたいに、優しい声で。浅ましい声が止められなくて喘ぐおれの顔をじっと見て、ふふ、と笑った。
「なんでこんなに可愛いんだろう」
ぐり、と押し込まれ、悲鳴みたいな声を出してしまった。筒井は手を止めずに、力を込めて押してきた。切れ切れに声を上げ続け、弄られてない先から精液が押し出されても筒井は辞めなかった。それどころか、達したばかりの先を指で扱く。
「相原さん、もっと可愛いところ、見せてくださいね。これ、好きでしょう」
頷く。先を責められて痛いくらいに感じる。涙が溢れて唾液も止まらない。でもその先に大好きな感覚が待っているので、のたうち回りながらも拒否はしなかった。もっとして、とさえ言ったような気がする。
「相原さんのすけべなところ、本当に大好きです」
好きですよ、と、耳元で囁かれ、それで本格的にスイッチが入ったらしかった。腰が張り詰める。目の前が白くちかちかして、息をできているのかできていないのかもわからないような激しい感覚に襲われた。やだ、と、口先だけで言う。情けなく漏らして、ベッドの上が濡れていくのがわかった。でも止められない。下半身が溶けてしまうような性感には抗えず、声にならない声と一緒に押し出す。
「気持ちいいですね」
くすくす、笑う声。ひく、ひくと震える身体を撫でる手があった。ひとつひとつ、自分でつけた痕跡を撫でて嬉しそうな顔がかすむ視界に入った。筒井の笑顔はいつでもきれいで、声はいつでも優しさに溢れている。それに責められるのがたまらなく気持ちいい。画面で人を魅了する指先が、逃げられないくらいの気持ちよさを与えてくれる。
「つつ、い」
「はい。もっと、ですか」
「もっと……早く、いれて」
「おねだりの仕方があるでしょう」
怠い身体をどうにか起こし、ゆったり座っている筒井の股間に頬を寄せる。すりすりと頬擦りをして布の上から舐め上げた。灰色のスウェット生地が色を変え、形を浮き上がらせる。大好きなものが欲しくてほしくてたまらない。疼く尻の奥に押し込んで掻き回してもらわないとこの感覚は取れないことを知っているから必死だ。
「はやく、つついぃ」
「泣くのはだめです。ほら、頑張れるでしょう? 相原さんはいい子ですから」
項を撫でられ、泣きながら、引きずり出したそれを銜える。間抜けな水音、硬くなっているのにどうしていれてくれないんだろう。混乱した頭でべろべろと舐めた。犬みたいですね。可愛いです。と褒められて嬉しいようなもどかしいような。
「相原さんの身体、後ろも前もおれがつけた痕でいっぱいですね。嬉しいな」
いい子にはご褒美をあげないと、と言って、尻を叩く手のひら。優しい手が遠慮なく叩いてくるのが気持ちいい。喘ぐたびに「可愛い」と言われて、頭の中まで溶けてしまいそうになる。しがみつくように舐めていたものを口から引き抜かれる。
見上げると筒井は穏やかな笑顔を浮かべていた。場にそぐわない、優しい笑顔。
「もっとたくさん、痕つけてあげましょうね」
「うん」
「嬉しいですか」
「嬉しい」
自分から仰向けになり、股を開いて筒井を誘う。奥が、ひくついて筒井を求めた。
「最高に可愛いです」
ふふ。筒井の笑い声が頭に響いた。首元に吸い付いて、痛いくらいの感触が心地いい。中も外も掻き混ぜられるようで、たまらなくいい。噛みつかれ、達した。
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