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「みんな!三月二十六日が何の日か知ってるか?」
「カチューシャの歌の日だろ?」
「違うよはっちゃん。ベンジャミン=トンプソンの誕生日なのだ。」
「あれ?李承晩の誕生日じゃなかった?」
「誰だよ!?違うもっと近くにいる人に関係してるから!」
朝、朝食を食べようとみんなで食堂に来たぼくは、見なくてもいいものを見てしまったきがする。
鉢屋先輩がものすごくいい笑顔で五年生の先輩方に絡んでいた。
「あ!はいはい!おれわかった!」
「よし!言ってやれ勘右衛門!」
「高田富之の誕生日!ほら、富松の富が入ってるよ。」
「あー…。」
「ちーがーうー!つーか誰だよ!お前らも納得するな!」
彦四郎助けて。
みんな見てるよ鉢屋先輩恥ずかしい、っていうか痛い人みたいだな。
なんかぼくまでいたたまれなくなってきたよ。
もうほんと彦四郎助けて。
ため息を一つつけば隣にいる伊助にどうしたの庄左ヱ門、と心配されてしまった。
「仕方ない。わたしが直々に教えてやろう感謝してくれ。」
「いらっ」
「雷蔵抑えてここ食堂みんないるから、な?な?」
「うるさいよ豆腐。」
不破先輩あんな怖かったっけ。
ねえ、きり丸。不破先輩って優しいよな?
え?ああ五年生限定でああなるんだ。ふーん。
「いいか?三月二十六日→三二六→さぶろう。理解できたか?」
「だからなんだよ。」
「え、いやだから、みんなわたしにプレゼントをだな。」
「じゃー、ぼく三郎のふりして六年に悪戯してこよー。いってきまーす。」
「ならおれ三郎の豆腐食ってやるよ。ほら。」
「おれ、蜂屋の前で一年とイチャイチャしよっかなぁ。」
「三郎、これが日頃の行いの結果だ。」
竹谷先輩がドンマイと鉢屋先輩の肩に手を置いたら、鉢屋先輩は例のごとくブツブツとぼやき始めた。
うーん。先輩すねちゃったのかな。ああなると本当にめんどくさいんだよね。
こっちに気づかれる前にさっさと食堂を出てしまおうか。
みんな、はやく食べちゃって。早く教室に行きたい気分なんだ。
「あ、庄ちゃん!庄ちゃんはわかるよね!?」
「さあ。なんのことでしょう。彦四郎にでも聞いてください。」
「つれないなぁ庄ちゃん。かまってよあいつらひどいんだ。」
「知りませんよ。ぼくもう教室行くんで。」
「えー。」
「庄左ヱ門、みんな食べ終わったよ。」
「よし、行こうか。そういうことなんで失礼します。」
「今度の委員会はわたしを祝う会するから!」
まためんどくさいことを。
途中、尾浜先輩にごめんねぇと謝られてしまったのであとで彦四郎にも伝えときますと返した。
早めについた教室から外を覗いて見えたのは六年をからかう鉢屋先輩のふりをした不破先輩と、それを必死に止める五年生の姿だった。
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