Clap レッスン
「さあ、言え! 誰に頼まれた!」
エルザが敵を追い詰め黒幕を吐かせようとした、その時。稲妻が光り、剣を向けている相手のすぐ側に雷が落ちた。驚き、恐怖を顔に張り付けた敵は、さっきまでの口の堅さが嘘のようにあっさりと白状した。
「くっ……。またか一体何の真似だ! ラクサス!」
「おめえがそんなんでどうすんだ? ちったあ落ち着けよ」
天狼島から戻り、7年の時を経て今やマグノリア一の最弱ギルドになった妖精の尻尾。少ない依頼の中で仕事をこなして実績を上げなければいけない今、破壊行為はご法度だ。そのため、以前から問題の多い最強チームのお目付け役としてラクサスがついて回り、行き過ぎた行動に規制をかけていた。
確かに、勉強にはなる。が、監視にも近いラクサスの行動に、信頼されていない気がして納得がいかないのも事実で。エルザは歯を食いしばった。
「まだ、分かんねえのか? 妖精女王さまも大したことねえな」
「なんだと!」
「ジジイの立場をこれ以上悪くすることは許さねえ」
ふざけた雰囲気を失くし、眼光を鋭くするラクサスに一瞬言葉を失った。
(マスターの為、か)
彼はやはり変わったのだ。ラクサスの真意を悟り瞼を伏せる。自分も変わらなくていけない。そう思いエルザは、「そうか」とだけ言い、残りのメンバーに振り返った。
「よし、黒幕は分かった。明日はそちらに向かう。いいな」
エルザとラクサスの会話を固唾を呑み見守っていたグレイとルーシィ、そしてハッピーは、ほっとしてため息溢した。こんな所までチームワーク抜群なメンバーに、エルザから檄が飛び、慌てて返事を返し、皆は歩き出すが、ナツだけは、立ち止まるラクサスに対峙して動かない。それに気付いたルーシィは踵を返しナツの所まで戻った。まさか、この状況で勝負を挑む、とは思わない。たが、思いついたら即実行が信条のような所がある彼の事だ。せっかくラクサスがエルザを止めた今、ここでナツが暴れたら元も子もない。
ルーシィはラクサスの最近の行動を、概ね良い事だと受け止めていた。
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