ツイッターで書いた140文字SS
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ブロマゼ/夢であえたら
「昨日の夢、あんたが出てきたわよ」
 起き抜け、一番にそう声をかけると、ブロントは数回瞬きをした後、にっこりと笑った。
「ああ、昨日はマゼンダのことを考えながら寝たから、そのせいかもな」
「ふーん」
 適当に相槌を打ちながら、私は自分の唇にやわやわと触れた。現実のブロントの方が、気障だ。



魔ブロ/罠だったとしても
 私の「そこを踏むと毒矢が飛ぶぞ」という忠告に軽く頷き、彼は一歩踏み出した。
「なんだ、嘘か」
 けろりとした顔だ。
「気付いていたのか」
「いや」
「死ぬ気だったのか」
「いや」
 私の言葉に応えながら、彼は不思議な微笑みを浮かべた。私にはどうしても、彼のことがわからない。



ジルティ/なんて身勝手な願い
「妖精の翅にはね、お願いを叶える力があるの」
 そう囁くと、ジルバは少し顔をしかめた。
「叶えたいお願い、あるの?」
「……」
 無視なんてひどい。
「一枚、あげようか」
 彼の肩がびく、と動く。
「ジルバならいいよ」
 甘く囁く。でも彼はやめろよ、と絞り出すような声で言うだけだった。つまんない。



クロテミ/週七日制
「クロウ様、どうして1週間は7日なのですか」
「偶然だ」
「神様がお決めになったとは仰らないのですね」
「同じようなものだ」
「そうでしょうか」
「……」
「神官達にそんなことを言ったら、夕食抜きになりますわ」
「……」
「クロウ様は誰よりも信心深くあられたと」
「そう思うか」
「……ええ」



ブルマゼ/本物と偽物
「もういいから、降ろして」
 言葉とは裏腹に、彼女の声には疲れが滲んでいた。本当はまだ歩けないくせに意地を張っている。無視を決め込み、軽い彼女の体を背負い直す。彼女はびくりと体を強張らせたが、やがて諦めたように僕の髪に鼻を擦り付けた。
「ごめん」
 泣きそうなそれだけは本心らしかった。



クロリン/幸せにするよ
「クロウ!」
「……」
「クロウー!」
「……」
「なんで逃げるのー!」
「……」
「回復するだけだよー!」
「……遠回復」
「ん?」
「遠回復できる距離に、いてくれ」
「……んー」
「……?! と、飛びつくな!」
「それは無理!」
「う……?!」
「私だって回復したいもん」
「!」
「えへへ」
「……」



ブロマゼ/誰も欲しくない
「寄らないでよ」
 彼女はいつも刺のある言い回しをする。
「棘があるのは、花を守るためか」
「はぁ? 何言ってんのよ馬鹿じゃない」
 ぎろりと睨み付けてきた瞳の奥に、柔らかな炎がちらついている。
「失うのは怖いよなァ」
「だからどういう意味よ!」
 だから彼女はすべてを遠ざけておくんだろう。



クロリン/生き方は似ているのです
 クロウの深紅の目は、時折どす黒く濁る。魔王の側の人間だったからかと思っていたが、どうやら違う。彼は恐ろしいほどに躊躇なく魔物を切って捨てる。わからない男だと思いながら、戦闘で浴びた返り血を流すため、川辺へ向かう。冷たい水に手を浸し、突然気が付いた。私の目も黒々と恐ろしいのだ。



クロリン(+ルファ)/結論はとうに出ている
「貴方は馬鹿ですね。既に自覚してしまった気持ちに蓋なんてできるはずないじゃないですか」
「うるさい」
「傷つけるのが怖いなんて身勝手ですよ。今すぐ近くに行って守ろうとするのが一番単純明快ですっきりします」
「……」
「自分でもわかってるんでしょう」
「……」
「はー、本当に馬鹿ですねぇ」



クロリン/惚れ直した?
 「貸して」と言うのでマントを差し出すと、彼女は裾部分のほつれを直し始めた。あかぎれの目立つ手が針と糸を器用に操る。上手いものだ。見ているうちに作業はどんどん進み、ほつれは綺麗になくなってしまった。顔を上げると、赤いマントを広げた彼女ははにかんで
「惚れ直した?」
 ああ。