ガキンッ

 金属音。白銀の刃と刃が傾いた十字架を形作った。金髪を後頭部で一括りにした青年と、銀髪を風に靡かせる青年が、血走った目で睨み合う。石壁の向こう側で声が聞こえるが、それに心を砕く余裕は二人とも在りはしなかった。

キンッ

 震えながら押し合い、重なっていた刃が離れる。それと同時に二人は後方に飛び退り、ゼェゼェと荒い息を吐いた。金髪の青年の蒼い瞳と銀髪の青年の紅い瞳が、相手の心中を探るように動く。お互い大して体力は残っておらず、自分と同じくらい相手が強いのもよくわかった。

ガギキンッ

 幾度となく合わせた刃がまた重なる。ギリギリと耳障りな音を立てる睨み合いが数秒、そしてまた体が離れた。それも一瞬のことで、金と銀はすぐに重なる。刃の間で火花が散り、衝撃に腕がびりびりと痺れる。

 両方の足が地面を蹴った。振り上げられた刃が空を薙ぐ。殺意に煌く目と目が、相手を切り裂こうと迫る。刹那。刃がぶつかり合う寸前、金髪の体が、左にがくりと傾いた。対応することなどできない。金髪の剣の切っ先が地面を向き、柄が銀髪の手首を強打した。衝撃と弾け飛ぶ刃。おかしな体制のまま振り上げられた金髪の膝が、銀髪の腹を捕える。

 銀髪の体が地面に倒れ込んだ。金髪の体がそれに跨り、刃の切っ先を喉元へ向ける。畜生、そう微かに呟いた銀髪へ送られたのは。

「テメェ、強いな、仲間になれ」

(……はぁ?)
(よし決定ー! おーいテメェらぁ! コイツ今日から仲間なー!)
(は?!)
(えっえっ何何リーダー)
(今度は何拾ったわけぇ?)
(あっコイツさっきスライム回復しまくってたヤツだぜ?!)
(何だと?!)
(まあ待て、怨み辛みはあれど今日から仲間。快く水に流してやれっ!)
(((はーい)))
(え、いや何勝手に団結してん)
(そうと決まれば夕食だーっ!)
(((おー!)))
(…………)