祝言 龍馬




「まさかほんに祝言を挙げれるなんてのう…」

「吃驚ですね」

「…」

「龍馬さん?泣いてるんですか?」

「…恥ずかしいきに、ちくと見んでくれ」


これからは2人はずっと一緒。あたしたちは同時に笑った、目に涙を浮かべたまま。そしてまた幸せな涙を流す。


「男のくせに、って思っちょらんか?」

「いいえ」

「格好悪いって思っちょらんか?」

「思ってません」


安堵のため息をついてにっこり笑う龍馬さん


「ますます惚れましたよ」

「ほ…っ、ほうか」


照れてしまった龍馬さんは頬を真っ赤に染めてプイとそっぽを向いてしまった。チラッとこっちを見て、聞いて欲しい事があると言うので黙って聞いた。


「ワシは今日っちゅう日を迎えられて、こがな幸せはないと思っちゅう。こんな乱世じゃき、おまんには心配も迷惑もかけるろう、ケンカもするろう。けんど、ワシは約束する」


いつの日かのあたしのように龍馬さんはあたしに小指を差し出す


「ワシはおまんを残して死なん!何があってもおまんを守り通す。」

龍馬さんの小指に自分の小指を絡める


「約束です!破ったら針千本ですからね!」

「分かっちょる!ぜーったいに破ったりせん!神に誓う!」


あたしたちは今日、正式に夫婦になった。これほどの幸せはないと思う。この先ずっと一緒にいて、お爺ちゃんお婆ちゃんになっても寄り添って…いつかあたしが龍馬さんの土佐弁も移ったり…理想の夫婦になりたいな。


祝言
(その人を選んだ人生が今始まる)




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