ひかり





夕方、もう日もほとんど沈もうとしている頃に小五郎さんに見せたいものがある、と言われ2人で藩邸を出た。

薄暗くなった道を小五郎さんが右手に持っている提灯が照らす。そして左手にはあたしの右手が繋がれている。

この時代にはもちろん電気がないから街灯もない。そのため、もう道端ではほとんど人には会わなかった。



「もう少しで着くからね」

「はい」



小五郎さんがあたしに見せたいもの、が何かは教えてくれなかった。聞いても着いてからのお楽しみだよ、と言って頭をポンと撫でられただけだった。

もうしばらく歩くと川のようなところに着いた。
あたしが住んでいた時代とは全く違って、人工的な物はひとつもなく草や花が茂った自然な川だった。



「座ろうか」



そう言って小五郎さんは懐から手拭いを出して草の上に敷き、その上に座るように促した。
さすが小五郎さん、準備が良いなぁ、と思いながらそこに腰を落とすと、すぐ隣に小五郎さんも腰を落とした。少しでも動くと肩が触れそうだった。



「今日はね、見せたいものだけじゃなくて渡したいものもあるんだ」



見せたいものはもう少し後かな、と小五郎さんはこっちを向いてニコリと笑った。



「渡したいもの?」

「ああ、少し目を閉じてくれるかい?」



あたしは小五郎さんに言われた通りに目を閉じた。
小五郎さんは優しくあたしの右手を包んだ。何をくれるんだろう、と右手に神経を集中させていると、何かを渡される代わりに唇に柔らかい感触がした。

びっくりして目を開くと、目の前には小五郎さんの顔があった。



「ゆずさんが好きなんだ…」

「…本当に?」

「ああ、本当だよ」

「嬉しい…っ」

「…もうゆずさん無しでは生きていけない」



切なげな声で呟いた後、あたしを優しく抱きしめた。小五郎さんの肩の向こうで見たものをあたしは生涯きっと忘れないだろうと思った。



「ほ、たる…っ!」



小五郎さんがあたしを抱きしめた瞬間、あたし達の周りの蛍が一斉に飛んだ。あたしがいた時代では決して見る事の出来ないもの。



「これをゆずさんに見せたかったんだ」

「すごい…!ありがとう、小五郎さん」



まるで私達を祝福してくれているみたいだ、と呟く小五郎さんに笑って頷きもう一度抱き合った。蛍がたくさん輝く中、あたし達は永遠を誓い口付けを交わした。



「愛してるよ、ゆず。もう君を離さない」



2011.02.21

相互記念で進行形彼氏の
ゆず姉さんに…!
遅くなって申し訳ない(;_;)
待たせた割にはへっぽこ…
全力ですみません…!
へっぽこだけど次女からの
愛は詰まってるよ(^O^)w
改めてこれからも
よろしくお願いします!

Hanauta* 詩より





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