恋人であるシズちゃんとの連絡がうまく取れなくなって二週間。
仕事が忙しくて、お互い連絡を入れても一方が仕事中というパターンが多くなっていた。
現在は夜の22時。夜は迷惑だから電話はしない。それは、夜型の仕事が多い俺が決めたことなんだけれど。

「はぁっん、ぁ、シズ、ちゃ、ぁん…」

携帯を傍らに、一人寂しく自慰にふける俺は、もうなんていうか、限界だった。
もう二週間もシズちゃんの声を、姿を、シズちゃんを感じていない。それは俺には堪え難いものだった。

スボンと下着を脱ぎ捨て、シズちゃんと俺のために買ったキングサイズのベッドに足を投げ出して、性器をぐちぐちと弄る。
シズちゃんを想えばすぐに先端が濡れてきて、それを全体に馴染ませながら性器を抜いていた。

「は、ひゃ、ああっ…シズ、シズちゃぁん…っ」

いつもシズちゃんが俺を気持ち良くするときみたいに、ちょっと焦らしてゆっくり抜いていけば、シズちゃんを思い出して身体全体が熱くなる。
声、聞きたい。シズちゃんの声が聞きたい。

「んは、はぁ、シズちゃん…シズ、っぁんっ…」

亀頭を爪を立てるようにぐちぐちと弄りながら、自然ともう片方の手は携帯へと伸ばされる。
シズちゃん専用のそれは、シズちゃんのアドレスしか入っいない。慣れた手つきでアドレスを押し、電話番号を選択し、耳に押し当てる。

出てくれないんだろうな。
忙しいから、もう寝てるかな。

快楽でチカチカとする頭でそんな後ろ向きなことを考え、泣きたくなってくる。
一定の音を紡ぎ続けるそれに一層切なさが込み上げてきて、もう切ろうとしたそのとき。

『…臨也?』
「―――っ!!ぁっ…」

ブツンとした音の後に、愛しくて仕方ない恋人の声が聞こえて、衝撃で軽くイってしまった。
鼓膜を心地好く震わす声。

『臨也だよな?』
「ふぁ、っん、うん…っ」

止めなきゃ。シズちゃんが聞いてる。止めなきゃ。
そう思うのに、手は全く止める気配がない。
気持ち良くて、気持ち良くて、水音が響くのも厭わず、性器をひたすら抜いていく。

「ぁ、ひぁっ…んっ…やだも…嬉し…シズちゃ、あ、シズ…あっ」
『…臨也?』
「あ、ぁあっ…!や、シズ…寂し、んぁっ、呼んでぇ、俺のこと呼んでっ…」

手は段々エスカレートし、大きく開脚してぐちゃぐちゃと性器を抜く。腹に付きそうなほど勃った俺のそれは、抜く度にびちゃびちゃと先走りを飛び散らせた。
息が上がって、苦しい。

『臨也、』
「あっ、あっ、ひゃ、あんっ…シズちゃんシズちゃん…っ」
『…なんだよ、そんなに寂しかったのか?一人でヤるとか』

性を感じさせるような低音でシズちゃんが言う。そうすると、まるで耳元でシズちゃんが囁いてくれてるみたいで、俺の身体は大袈裟に跳ねた。

「ふぇ、シズちゃぁん…っ、きもちぃ、きもちぃよぉ…」
『…今どんなふうにしてんだ?』
「んっ、ぐちゅぐちゅって、俺の、んぁっ、抜いてる…」

そうシズちゃんに実況すれば、恥ずかしいことをしているのだと我に返って、身体が一層熱くなる。
シズちゃんが、俺の自慰を聞いている。

『すげ…水音まで聞こえてる』
「あっや、やめ…っ言わないでぇっ」
『臨也…臨也』

名前を呼ばれて、また跳ねる身体。しかし、急に物足りなさを感じて、きゅんきゅんと切なく疼く後ろの蕾にそっと手を這わせて、つぷりと指を突き立ててみた。

「ふぁ、ああんっあっあっシズちゃん…シズっ」
『どうした?』
「変らのぉ、うしろ、きもちくて、おかしぃっ」
『後ろ弄ってんのか?』

尻を突き出すようにしてそこに指を入れてしまえば、内壁を擦る指がシズちゃんの指を連想させてしまいきゅんと蕾がきつくなる。
後ろを使っての自慰は初めてで、こんなにも自分は淫らかになってしまったのかと恥ずかしくなった。

「あんっあっひゃぁあんっ」
『エロ…』
「やっシズちゃ、きもちぃ、きもちぃ…っ」

指を一気に3本に増やして、イイ所を擦るように素早くピストンする。
絡ませた自分の先走りがぐちゅぐちゅと音を立てるのに興奮した。

「ひゃ、イっちゃ、イっちゃうよぉ…」
『待てよ』
「っん、え?」
『今俺、どこにいると思う?』

その声のあと、聞き慣れたエレベーターの「25階でございます」というアナウンスがシズちゃんとの電話から聞こえてきて、唖然とする。

「シズちゃ…?」
『迎えに行くぜ。今からよぉ』

楽しみに待ってろ。

ブツンと切れた通話にポカンとしていると、玄関のほうから鍵を開ける音が聞こえた。



――――――
臨也さんの自宅の階は捏造です。公開されてた気がしますが分からなかった…

ちなみに初エロでございました。難しいネ!
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