「やぁやぁ二人とも、よく来てくれたね!急に呼んだにも関わらず来てくれるなんて、二人とも相当暇じアイタタタタ締まってる締まってるよ静雄!苦しいってばゲホッ
 あー、苦しかった、あっちょっとここで喧嘩はやめてくれよ、呼んだ私が言うのも何だが何か壊されちゃたまらないんでね。
 で、だ。二人とも、最近あまりにもここに来すぎているとは思わないかい?忘れてる訳がないだろうけど、ここは僕の家じゃなくて、僕とセルティの二人の愛の家なんだよ?つまりここに来るということ自体が僕とセルティの愛の時間を邪魔していることになるんだよ?
 二人がここに来るのは大抵怪我を治療してもらいに来るからだよね、臨也はともかく静雄は治療費だって碌に払わないっていうのに都合の良いっ痛い痛い耳がちぎれるよ!!いたッ痛いって!!
 ……はぁ、で、話をもとに戻すけどね?
 二人はよく怪我が原因でここに来る、そしてその怪我は大抵の場合が、君たち二人が喧嘩をしたことによってできたものだ。
 つまり、二人が喧嘩をしなくなれば、セルティとの愛を邪魔をされることもなくなるわけだ。

 そう思って、これを用意したんだよ」

突然旧友の闇医者に呼びだされて奴の家へと行ってみれば、俺とノミ蟲の形をした何かがいた。

「しんら、このひとだぁれ?」
「あぁ、この人たちはね君たちのオリジナルだよ」
「おりじなるって?」
「んー、元になった人たちかな。まぁ兄弟みたいなイメージを僕は持っているけどね」
「そういえばあのひと、つがるとおんなじかおしてる!」
「…そういうサイケも、あの黒髪の人と同じ顔だ」
「つがるがふたりいるみたいだね!」

隣にはぽかん、と間抜けに口をあけたノミ蟲がいて、そんな表情初めて見たなぁと驚くもそれを言えるような気分ではなかった。
呆然とする俺とノミ蟲を完全にシカトしやがって、目の前の「俺とノミ蟲の顔をした何か」と新羅は勝手に話を進めていく。

ノミ蟲にそっくりな方は、あいつとは違って真っ白なコートに身を包んで、ピンクのコードがアクセントのこれまた白いヘッドフォンをつけている。人の会話の最中にはヘッドフォンを外せと習わなかったのか、これだからノミ蟲は、じゃなくてノミ蟲にそっくりな奴は。
そして俺にそっくりな方は、何故か着物だ。鮮やかな青い色が乗った羽織を白い着物の上に着て、口には葉巻をくわえている。煙は出ていないので吸ってはいないようだが、とりあえず家の中では煙草っぽいもの吸うんじゃねぇよ。

うごいているし言葉も話しているし、見た目も人間と同じなのだから、ここは「何か」ではなく「人」と表現するべきなんだろうが、生憎俺はこうも似た人間がこんな近距離に、というか同じ空間にいるとは考え難い思考の持ち主だ。
「他人のそら似」とはいえどいくらなんでもこれは似すぎだ、瓜二つとか一卵性双生児とか、そんなレベルだ。
てゆーかなんだこいつらは、アレか?ドッペルハンガ―とかいう奴らか?てことは俺あとちょっとで死んじまうんじゃねぇの?あれ?

「シズちゃんドッペルハンガ―じゃなくてゲンガ―だから。なんかハンガ―の商品名みたいになってるけど違うからね、てゆーか早く死ぬなら死んでくれないかなその方がすごく俺としては嬉しいマジで」
「…ッてめ、人の心読んでんじゃねぇよ!」
「いや君全部口に出してたからね、心の声ただもれだったからね」
「じゃ、そういうことで二人とも!」
「あ!?」

俺とノミ蟲がそんな小競り合いをしているうちに、新羅や俺らのドッペルなんとかの会話は大分進んでいたらしく、同意を求めるように新羅が俺たちの方を向いた。
そしてその、何だ、白コートノミ蟲と着物俺とばっちり目が合ってしまって、俺の体は小さく震える。
ノミ蟲も同様に軽くびくりと震えていた。

「こっちが臨也をオリジナルにしたサイケデリック01、で、こっちが静雄をオリジナルにした津軽島042ね、長いからサイケと津軽でいいよ」

そして次に、俺とノミ蟲は固まることになる。

「じゃあ、今日からサイケは静雄と、津軽は臨也と生活してね!」

「は、」
「え、」

「静雄臨也、二人とも、頑張ってお互いに慣れるんだよ!」

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