あの日は確かに貴方はそこに居て触れることが出来たのに、今はまるで別人みたい。
言葉を交わしていても、上辺だけ滑り落ちて、子供の私には全然届かない。
何をするにも、そう。
貴方の腕の中に居るのに、その距離はまだ遠い。
見返りを求めない慈愛に満ちた眼差しは、好きじゃない。
大人の立ち振る舞いも、何事にも動じないその余裕さも、好きじゃない。
違う、違うでしょう。
どうして見せてくれないの。
優しく守って欲しいんじゃない。
私が、貴方を守るのよ。
私を、もっと求めてくれなくちゃ嫌。
「こたろーさん。」
「学校では星月先生と呼びなさい。」
「甘く見ないでくださいね!」
「どうしたんだ?いきなり。」
「ちょっと、こたろーさんのこと考えてたら、ムカムカしたので、宣戦布告です。」
「おーそうかそうか、今忙しいから後でな。お茶くれ、夜久。」
「もー!全然、聞いてないじゃないですか!」
つかみ所の無い正体不明の貴方を解明してみせる。
影と追いかけっこ
そして骨の髄まで愛し通してみせるから。
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2012/4/16
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