あまり理解出来ない。てゆうか理解不能。
物心ついた頃から側に居た宝物の様な少女は彼らにとってはどんな存在なんだろうか。
今在るものが壊れて行く不安は彼らにとってはどれだけなんだろうか。

端から見れば、彼ら二人はマドンナちゃんに恋心を抱いてて、それ故に彼らの周りの空気はとても優しく、眼差しが、言葉が、触れる手がいつだってマドンナちゃんを大事に大事に包み込んでいて、まるでミルクレープみたいに何層にも、他人には計り知れない程その層は厚く甘い。

だから、一樹側の人間として言うのはおかしいけど、変わらぬ形を貫いて行くのかと、少しだけそうであって欲しいと勝手に思ったりもした。
でも何も知らない彼女は、たった今、そこから、歩き出そうとしてる。
これじゃぁまるで、鳶に油揚げをさらわれるってやつでしょ。

悔しくないのか。辛くないのか。欲しくは、ないのか。

簡単に、渡せるものなのかとジャーナリスト魂が彼らの真相を暴きたいとうずく。
所詮はそんなの良い訳で辛さばかりがシンクロして苦しいから、聞きたいだけの興味本位なんだけど。

「これでいいのー?キミタチ。マドンナちゃん、一樹のとこ行くよ。」

彼女の行く先を各々見つめて離さない彼らに声をかけた。

「そうですね。」
「だから、何だよ。」

返ってきたのはどちらも肯定の返事。
正直、彼らの気持ちは理解出来そうにも無い。


こんな道化は見たことが無い


ただ、俺に一瞥した眼差しは他人とラインを引いた冷たいものだったけど、彼女を追いかけるその視線はやっぱり優しく、笑ってた。

まるで、幸せだ!って誇らしげに。



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2012/4/13


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