テスト期間前になると決まって難しそうな顔をした錫也と心配そうな顔をした月子が机を囲うと、今回は大丈夫なのかとか、抜けてるノートないとか、それはもう丁寧に1から10まで確認をご丁寧に始める。

「だいじょーぶだって!俺だってなー」
「俺、今日食堂におばちゃんと約束があるから後から合流するよ。それまで月子だけで平気だよな?」
「もちろん大丈夫だよ。」
「おいおーい。お二人サーン?」

俺の意思は関係は無いようで、無視して話を進める。
良くさぼってるけど、別にそこまで馬鹿な訳じゃない。
要点さえ聞けば、最低ラインはなんとかなるんだけど。

「じゃぁ、哉太行こう。」

俺の腕を引っ張る月子の体温とか、旨い差し入れを持ってくる錫也とか、そうゆうのすげぇ幸せなこと何じゃないかなって思うんだよな。
いつか何かが変わったらこんな風には出来なくなる日も来るだろう。
それは俺かもしれないし、錫也かもしれないし、月子かもしれない。
どうしてそう思うかって言ったら、認めたくはないけど俺の体が人より弱く出来てるから、日常がとんでもなく幸福なものなんだって、俺は知ってる。

「ここはねこの公式を・・・あれ?」
「・・・ここの公式を?」
「ん?んー?あれ?おかしいな、ちょっと待ってね哉太。」

月子、途中の足し算間違ってるから、答えにはたどり着かないぞ・・・。
突っ込んだ方がいいのか考えた後、知らぬ存ぜぬを決め込んで、どうか月子が気づいてくれるように祈ることにした。


愚かなフリをするのはなかなか大変


だから、今はこのままふたりの心配を買って出てやる。
唸る月子の顔を覗き込んで、無防備になった髪を弄んだ。

困ってる月子の顔も面白いしな。
今だけは、もっと俺のために困ってよ。




ーーー
2012/4/11


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