今腕の中でスヤスヤと寝息を立てるお姫様。
無防備過ぎるとあんなに注意してきたのに、全然分かってない。
誰が一番危険なのかってこと。

教育実習も終わって、教師と生徒の関係も終わったことを機に自宅に招いたが、
それはもう月子の顔には「警戒」ってデカデカと書いてあるもんだから、何もしないことを約束して、
実現した訳なんだけど。
別に今まで女に不自由したこと無いし、さして欲求不満でもない。
思春期なんてとっくに過ぎて、一時の感情に流されるってこともない。
そう思ってた。

けどさ。

「これはちょっと、生殺しってゆうか・・・。」

試されているんだろうか。
このお子様にそれほど女としてのずるい武器を兼ね備えているのか考えると答えは簡単に出るけど、
彼女の信頼を裏切ることはしたくないなって自分らしくもなくそう思う。

「寝てる君が悪いんだし、これくらいならいいよね?」

柔らかい唇にキスをする。
この唇はまだ僕しか知らない。

上唇を甘噛みすると、少しだけ月子がぴくりと動いた。
唇を離すと、また規律の良い呼吸を始めて、眠りの深さを伺わせる。

そうなるともう少しだけと、エスカレートしていって
何度しても飽きない行為は、簡単にストッパーを壊してく。

あぁ、まずいかも。


勝ち目の無い戦い。


「月子・・・起きて。」

僕が止まらなくなる前に。



ーーー
2012/4/10


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