「毛利ってさあ、本当綺麗だよな」
何だコイツ。いきなり惚気かよ。
と突っ込もうとしたが、悲しげなため息を吐かれたからやめた。
「元気ねえな。どうしたよ」
「何で俺なんかと付き合ってるんだろう」
「…Ha?」
思わず変な声が出てしまったが、元親は気にもせずまた一つため息を吐く。何故そんなことを疑問に思っているんだ、こいつは。半年前毛利から告白されたのはどこのどいつだよ。お前だろ。と、心の中で突っ込みを入れた。またも言葉に出来なかったのは、元親が不安そうな顔で俺の方を見てきたからだ。
「誰かに何か言われたのか?」
「いいや」
「じゃあ何でそんなこと考えてんだよ」
「…だってよ、毛利って誰が見ても綺麗な顔してんじゃん? 人形みてえだよなあ。そんな綺麗な人がよ、俺みてえながさつで片目に傷負ってる女と付き合ってるのが不思議でしょうがねえんだよ。不安なんだよな…」
うーん、と真剣に悩む元親を前に、やはり俺は言葉を失った。コイツは自分がどれだけ美人かまったくわかっちゃいねえようだ。恐ろしいことに。
(俺からすりゃあ、アンタの方が綺麗だぜ)
柔らかそうなプラチナブロンドがまず人目を引く。出る所は出て、細い所は細く、めりはりのある身体。艶めく唇に、片方しか見えない大きな瞳は海の色。確かにがさつな振る舞いは多いが、ふとした瞬間に見せる儚さに心臓を掴まれた男は数知れずというのに。
「なあ政宗、俺はどうしたらあいつの自慢の彼女になれるかなあ」
「…さあな」
「何だよ、つれねえなあ」
「そりゃ本人に聞けよ」
さっきから物凄い形相で俺のことを睨んでいる、あの野郎に。
心配性カップル