!学パロ(notSSL)







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「有難うございます、沖田先輩。先輩って本当に頭がいいんですね」
「どういたしまして。そういう訳でもないよ?僕なんかよりはじめ君の方がよっぽど賢いし」
「でも、平助君は沖田先輩は本気を出してないだけで本当は学年でトップになれるくらい頭がいいんだって言ってましたよ?」
「本当じゃないなんて、平助も失礼なこと言うなぁ」
 今度部活で平助に会ったら回し蹴り決定。そんなことこれっぽっちも顔に出さずに、横にいる千鶴ちゃんに笑い掛けた。
 図書館を出て人通りも疎らな校舎を彼女のペースに合わせてのんびり歩く。
「先輩に教えて貰ったお陰で次の中間テストはなんとかなりそうです」
「そう?千鶴ちゃんはもの覚えいいから、凄く教え甲斐があるんだよね。本当に平助とは大違い」
「平助君は部活ばっかり頑張ってますからね」
「確かに。剣道部の癖に熱すぎるでしょ。もっと落ち着いたらいいのに」
「斎藤先輩や土方先輩はとても落ち着いてるのに、平助君は真逆ですよね」
 ぴくり、と。僕のこめかみが微かに動いた気がする。
「私も剣道が出来たらなぁ…」
「マネージャーだって凄く大事な役割だと思うけど?」
 一応男子剣道部って名前だから女子部員はいない。今年からマネージャーになった千鶴ちゃんが唯一の華だ。いや、ある意味ではあの人も華だと言えるけど。
「皆さんの役に立ててればいいんですが…」
「千鶴ちゃんは凄くみんなの力になってると思うよ?部室の掃除とか練習の準備とか、みんなやりたがらないしね」
 特に新八さんとか新八さんとか新八さんとか。
「有難うございます!そう言って貰えると嬉しいです」
 彼女はにこりと笑う。えくぼなんか出来てて本当に女の子らしい。家まで送ろうかと尋ねようとしたが、その前に僕の足が止まる。止められた。もっと正確に言えば後ろから制服の袖を掴まれた。
「土方先輩!」
「土方さん…?」
 律義にぺこりと挨拶をする千鶴ちゃんに目もくれず、僕を射抜くみたいに見つめる土方さんはぐっと唇を噛み締めていた。
「どうしたんです?今日は部活休みなのに、また古典の先生のとこ行ってたんですか?」
 無言。左手はポケットの中、そして右手で僕の袖をくいっと引っ張る。カーディガン、伸びちゃうよ。
「…話がある」
 なんて目をしてるんだろう、この人は。
「ごめんね千鶴ちゃん、ちょっと土方さんと話してくるから。また明日」
「はいっ。また分からないところがあったら質問してもいいですか…?」
「うん、いいよ。いつでもおいで」
 左手の入ってるポケットがぴく、と動いた、気がする。



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