私がこの道を選んだのはどこかであの子の面影を忘れていなかったから。
初めて彼を見たのは、近所のグラウンドでやっていたリトルリーグの練習試合。
弟を見に行った筈なのに、私の目は相手チームのキャッチャーばかり映してた。
当時まだ13歳。
中学校に入りたてのただの子供。
だけど、野球をする目は鋭くて、強くて、目が離せなかった。
それから私は彼のチームの試合があれば見に行った。
ひっそり見つめるだけ。
それだけで良かった。
そうして私は高校最後の年、初めて恋をしたんだ…。
5歳も年下の男の子。
話したこともなく、ただひっそりと見つめるだけ。
それを恋と呼べるかなんて今の私にもわからないけれど。
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