・大庵視点


「大庵のバカ」
「え…?」
「アホ!おたんこなす!レタス!リーゼント!ヤンキー!ローメイン!」
「え………?」

それだけ言うと俺の彼女、名前は俺の部屋から出て行った。その後大きくドアを閉める音がしたから多分自分の部屋にこもっているんだろう。ドア壊れてねーか?あれ。それより、さっき名前が言っていたことが全くわからない。レタスあたりからおかしくなかったか?いや、そうじゃなくて、まず何で俺が名前にあんな非難されたのか、が問題だ。大問題だ。何もした覚えはないんだが…。俺が知らない間に名前を怒らせてしまったようだ。とりあえず謝っておいたほうがいい…よな?というわけで名前の部屋の前に来たんだが…
「名前ー、開けてくれよ」
「やだ」
「俺なんかしたか?」
「……!!レタス!レタス!」
「…ぐっ……ちょ…それはやめろ」
どうやら理由がわからないことで更に怒らせてしまったようだ。うーん…しかしやっぱりわからない…こうなったら当てずっぽうに聞くしかないな
「何か…名前のおやつ食べちゃったとか?」「…」「録画したやつ消したとか?」「…」「じゃあ…俺の帰りが遅いとか」「それはいつもだろうが」「えっ…ごめん(怖いな…)」「………まだわからないの?」
名前がドアを開けて出てきた。目の下がうっすら赤い。俺が泣かしちまうとは…。名前は今落ち着いている。今なら聞ける、気がする。
「なあ、やっぱりわからねぇ。教えてくれないか」
「……………浮気、」
「…は?」
う、浮気、だと?たしかに今名前は浮気と言った。しかし俺は浮気なんかした覚えなんてない…。そもそもこんなに可愛い彼女がいるのに、浮気なんかするはずないじゃないか。うーん…なんかあっただろうか。浮気と誤解されそうなこと。…………あ、
「もしかして、マネージャー、のことか?」
「…え?」
「たしか…この間打ち合わせのために駅でメンバー達で待ち合わせてたんだが、俺が着いた頃にはまだマネージャーしかいなくて少し話してたんだ、ライブについて」
「…」
「で、それをたまたま見たんじゃないか?俺は仕事に行ってる時間だから、怪しいと思ったんだろ?名前は」
「そう…だった、の」
よし、俺の推理は当たってたようだ。まあ伊達に刑事やってないからな。
誤解が解けたようで、名前のムスッとしていた表情は消えた。だけど今度は何故か泣き出してしまった。また俺が泣かせたのか…?
「うっ、ぐすっ、ごめんね大庵、」
「いや、いいんだ。誤解が解けたなら」
「ぐすっ、だ、大庵大好き」
「(超可愛い)」
俺は名前を抱き締めた。すると名前も俺に抱きついた。俺はこんなに可愛い生き物を名前以外に知らない。いや、名前以上に可愛い生き物なんて存在しねーな。
そんな俺は相当名前に夢中なんだと思う。


2012 03 18