・成歩堂視点


「成歩堂くん」
「何?」
「暑い。」

そう言うと名前はTシャツに手をかけた。いやちょっと待て。まさか下着姿になるつもりなんですかね名前さんは。慌てて止めると、「何で?恋人同士なんだし、いいでしょ?」と問いかけてくる。いや駄目だよ!そりゃ恋人同士だけどさ。名前は純粋すぎて下着姿になってしまうことに何も思わないんだろうけどこっちは大問題だよ。たしかに全然嫌じゃないけどむしろちょっと嬉しいけど(何を言ってるんだろうか…)理性とか理性とかとにかくいろんな意味でヤバいから止めるしかなかった。相変わらずまだ問いかけてくる名前に本当のことを言えるはずもなく、アイス食べよう!と話題を切り替えると名前もやっぱり暑いからか黙ってくれた。よし、これでなんとか回避できた。
冷凍庫から棒付きのバニラアイスを二本取り出して持ってくると名前は嬉しそうにアイスを受け取った。美味しそうに食べる名前を見て可愛いな、なんて思ってたらアイスが溶けて名前のTシャツにポタポタ落ちてしまった。

「あーあ、汚れちゃった。着替えないと」
…ちょっと待てよ。これまたさっきのパターンじゃないのか?そう考えているうちに名前はTシャツを脱ぎ捨てていた。直視できない…俯くしかない。けど俯いたら俯いたで膝をついている名前のジーパン生地のショートパンツから伸びている太ももがどうしても視界に入ってしまうので後ろを向いた。解決したかのように思ったが今度は名前が後ろから抱き付いてきた。む、む、胸当たってる!顔から出る冷や汗が半端ない。すると名前が俺の正面に来て、のぞき込むように見上げてくるから、名前は自然と上目使いになるわけで。

「どしたの?」

動く名前の唇に見入ってしまい、そして、俺の中で何かがプツン、と切れた。
「ごめん名前」
「ちょ…きゃあっ!成歩堂くん!?」

俺だって男なんだ。決して変態じゃない……はず。ごめんね名前、成歩堂龍一は限界です。



2012 03 17