「な、成歩堂さん?」
「ん?なあに?」
「そ、それ、何ですか…?あと、迫られると困ります」
「何って、どっからどう見ても、普通のメイド服と猫耳だよ」
「まずそれを持っている成歩堂さんが普通じゃありませんよ!こ…来ないで下さい!」

メイド服と猫耳を持って、ジリジリと迫ってくる成歩堂さん。この事務所に所属する私と成歩堂さんは、先月から付き合い始めたのだが…急にコスプレを強要するようになったのだ。この間なんかはコスプレではなく普通に水着だったからドン引きした。成歩堂さんの本性は、変態だったのである。さすがに水着は嫌なので抵抗していたら、そこに偶然真宵ちゃんが訪れたのでなんとか助かった。真宵ちゃんは本当に私の天使である。
でも今日は真宵ちゃんは倉院の里。この間は来れたけど、しばらくは修行だから来れないらしい。絶体絶命だ。助けて真宵ちゃん…もう誰でもいいから助けてくれ……。あ、携帯で誰か呼ぼう!
そう思ってデスクの上の携帯に手をのばしたら既に携帯は消えていた。成歩堂さんのほうに振り返ったら、成歩堂さんはドス黒い笑顔で私の携帯をソファに投げた。あああああ…もう駄目だピンチだ!

「さあ名前ちゃん、着てね?」
「い…嫌ですよなんでそんなの着なくちゃならな「ふーん…じゃあ僕、美人なあやめさんと面会でもしてこようかなあ?」
「え…?び、美人……」
「うん。すっごくね」
「…い、いやだ…やです成歩堂さん!そ、んな、美人さんと会っちゃ…、ぐす、な、な゛るほどう、ざんは、わだしのでずよおお…!」
「嘘だよ。名前ちゃんが一番可愛くて、美人だよ…もう、本当に可愛いなあ」
「ぐずっ…ほ、ほんとですか…」
「うん。だからさ、名前ちゃんに着てほしいんだ。一番可愛い名前ちゃんに、さ」
「…な゛っ……わかりましたよ…今回だけ、ですからね…」

なんかはめられたよ、これ。泣きたいなあ悲しいなあ。お母さん、私はめられたよ。この人弁護士じゃないよ。とんだペテン師だったよ。もう…仕方ない。恥ずかしいけど着るしかない。成歩堂さんをなんとか後ろ向きにさせて、急いで着替える。いいですよ、と声をかけたら成歩堂さんがこちらを向いた。あああああ…恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!も、もし似合わないとか言われたらどうしよう…?とにかくドキドキする。

「ど、どうでしょう…………」
「名前ちゃん、かわいい…!」
「成歩堂さん!?大丈夫ですか!は、鼻血が……」
「名前ちゃん!」
「は、はい!?」
「ソファの上でも問題ないよね?うんうん、ベッドと変わらないね」
「え…ちょ…やめ……な、なるほどうさん!ば、馬鹿ああああああ!!」


誰か、この変態をなんとかしてください。


2013 08 14
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