■ 嘘を込めて最後の抱擁を

ヤンデレ→不良×平凡

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不良といえる俺は強かった。自分で言って自画自賛して、喜んでいるのじゃない。生まれつき弱かった長馴染みを守るために頑張った結果だから胸を張ってそう言えた。


「カズ」

長年読んでいる愛称を呼んだ。

「アキ」

和也も俺の名前を呼ぶ。どちらともなく、キスをした。相手の全てを奪うような激しいキス。

唾液を交換して、混ざりあった液体が口の端を伝って銀色の糸になり垂れる。

離れていく、悲しい。一分でも一秒でも長くカズを感じていたかった。

「ごめんな」

チュッと最後に音を立てる

「どうしてもいっちゃうの?」


小さい体で必死に俺にしがみついて、離さないカズを見て苦笑する。

俺だって行きたくねぇよ

離そうとしないカズにこれが最後、最後なんだぞと強く強く抱きしめた

「戻ってくるよね」

「あぁ」



「また会えるよね」

「勿論だ」

これも嘘

「大丈夫だよね?」

「あぁ」

全て嘘だった。
俺は本当に不良のトップと疑われられる位に怯えていた。

カズの綺麗な髪を撫でる

カズがいなくなることが怖い。これは取引だ。俺があいつらの所に行けばカズは傷つけられない。自己犠牲というわけではないが、口だけじゃなくてあいつらはちゃんと出来るだけの力を持っている。

なんで、俺なんだ。なんで俺達なんだ。
俺が不良のトップなんかをやっていたからか。カズと恋仲になった時点で辞めるべきだったんだ。

ごめんな、カズ。
こんな男で、

お前は幸せになれよ

徐々に力を抜いていくと、温もりが消えていく。


「じゃあ、行ってくる」

「行ってらっしゃい」


ばたんとドアを閉める
ただいまは、言えそうにない

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不良を呼んだ相手がヤンデレ←


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