■ 儚い夢の終わりかた

左側の胸部がずきずきと痛んだ。それは、神経を蝕んで、体に伝わる。


儚い夢の

   終わりかた



「お疲れ様です」


仕事場の人が集まって、新年会をはじめた。一年間お疲れ様です、今年も宜しくお願いしますと。

俺の、持っているコップだけ、こつんとぶつかることをせずに、一人で寂しく立っていた。

「じゃぁ、食べようか」

「はいはーい!」


気にしない。いつもの事じゃないか。呼ばれたのは、新入社員の彼のおかげ、いや、せいといってもいい。


結局は。僕は。


.....もう、いいか。立ち上がって、少し断りを入れてから、外に出る。ネオンがきらきらと光っていた。ネオンから隠れるように、暗いそこは僕のお気に入りの場所で。


カクテル、ワインが凄く美味かった。


――カラン

鈴が1つなる。

「マスター、何時もの。1人で飲ませて」

「....はいよ」


奥のテーブルに座ると、程なくして葡萄のワインが置かれた。


僕は必要ないと思っている。

必ず僕という代理品がいる。
ただ、居るだけでいい。数合わせの存在。さっきだって、彼がいないから、僕を呼んだのだ。



悲しいものだと思う。

どんなに願ったって。必要とされない。グラスに入った氷がカランとなった。葡萄のワインが入っていて、照明が氷を照らして輝いている。

のんで、のんでと言っているけれども。結局は僕に飲んで貰うのを望んでいるのではなく。飲むという行為を求めている。虚しいものだ。グラスをぐいっと傾けて一気に飲み干した。

「――っあ...」

だるい。

目が閉じる。


自分の身体も傾いて

瓶に腕が当たって、ぱりんと割れる。僕の血と葡萄のワインが混ざって、赤く紫なコントラスト


カラン、氷が寂しく鳴った


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