■ 一番目の弟

ヤンデレ弟×ノンケ兄

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くるみちゃん、可愛いな。教室のアイドル存在。くるくる、ふんわりガールで年上からも年下からも人気が高い。

モブな男には振り向かないだろうな、とため息するのは俺。水谷 遠矢

運動神経も無く、学習能力も無く、ただ体が柔らかいという取り柄しかない。

それだけは、凄いんだよ。たったまま、そのままブリッジとか出来るし、Y字バランス、寝た体制からの足に頭をつけるとか、足が縦に180に出来て、そのまま座れるという偉業。

あ、すごくないってか。知ってるよ、もう。


くるみちゃんには好きな人がいる。その名を


水谷 樹


なんて、ありきたりな話だと思う。俺が好きな子が俺の弟(イケメン)を好きだなんて。

「今日、ね。告白しようと思うんだ」

「くるみ頑張れよー?」

「頑張ってね、応援してるよ」

だなんて、内容聞けばもう分かるだろう。相手?そんなの愚問だ。


早々と家に帰ってくつろぐ。初恋は呆気ない。同じ血なのに、どうしてこんなに違うのだろう。夕暮れになり、赤と青が混ざって紫になった空を見上げた。鴉が一匹ベランダの脇にちょこんといて、黒い瞳と目が合う。


「はぁ......」

憂鬱だ。放課後だろうし、告白でも受けているんだろうな。



「兄貴、ただいま」


俺が帰宅して20分程たった時、玄関を開けて響いた声.......早くないか。いつもは、返してやる返事も今日は返す気がない。ソファーを深く座り直しベランダからテレビへと視線を戻す。


「兄貴いるのー、ただいま」

「.....」


「兄貴?」

鞄を置いて、俺の目の前に移動する。


「....今は放って置いてくれ」

何時も通りに接してくる樹に少しだけい、苛ついて冷たく言い放つと肩に衝撃が来た。



「なんで、そんなに冷たいの」

「いた、いって、ちょ辞めろ」





「もしかして、」





嫉妬してるの?俺に?それとも、くるみに?いや、後者だよね。オレの事大好きでしょ、ということは嫉妬か。可愛いことしてもいいけど、オレ興奮しちゃって止められなくなる。ん?なんで、顔歪めるの?あぁ....匂いうつってる?あまりにもひっついてきたから。嫌なんだよね。ごめんね?今だけ我慢して。煩くてちょっと殴っちゃった。が?...怪我か。大丈夫。オレは怪我してないよ。...は?くるみ。知らない。あんなやつのことなんて、気にしなくていいじゃん。でも、なんて優しいんだろうね。とーやは。流石、オレのとーや。ふふふっ、体柔らかいからきっと俺の簡単に銜えられるね、いやらしい格好してさ、まったく


「かぁわいい」


(完)

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