■ 夏空を見上げ思い返す夏*
煩い、じめじめとした日だった。
その日は何もすることがなく、家でゴロゴロすることとなる。
お昼、晴天になり熱くなって、扇風機をつける。首振りをなしにして、自分のところだけ当たるように。家には誰もいなかった。
「しんちゃーん」
俺を呼ぶ声。玄関で叫んでいるであろう声。しょうがないな、と扇風機の電源を切り、タンクトップとジーンズというラフな恰好で玄関へ行く。日差しが暑い。木々が揺れて、風がそよいでいた。
「てっちゃん」
哲朗という友達だった。俺は信一。黒く日に焼けた肌が日に照らされた。にかっと笑うと見える白い歯は彼のトレードマークだった。
「家に入っていいか」
玄関から見える、道路には陽炎が出来ていて。目をこすった。
「おー別にいいけど」
彼を家に俺の部屋に招きいれる。その途端、どさっと俺にのしかかってきて、口を奪われた。れろっと、入ってくる舌がエロい。はぁはぁ、とどちらか分からない息。タンクトップを脱がして、手を上でまとめた。出た、乳首やら肌を舐められて、嫌悪感はなく、熱で犯されたのか気持ち良かった。彼の指が俺に入ってくる。冷たいものと同時に焦らすように。何時間そうやったかは分からないけれど、もうキャパシティがオーバーして。意味がわからなかったと思う。
激痛が走った。痛いと叫んだけれども、その声はてっちゃんの咥内に消えていった。
正常位で、揺さぶられて。痛みだけだったのも快感を感じるようになって。瞼に唇に首にキスをされて。
すきなんだ、すきだったんだ
しんちゃん
腰が、動いてぱんぱんと音をたてた。ぐちゅ、ぐちゅと厭らしい音が響いて、がふりと俺の首を噛んでアイツは俺の中に精を吐き出した。
ごめんね
うつろに聞こえたその声は寂しそうで。その次の言った言葉は俺が気を失ったため聞くことが出来なかった。
その日は、じめじめとした日だった。
午前11:58。彼は死んでいたのだ。
二日酔いの男がクルマを運転して、判断を誤って衝突死。
体には、噛み付いた痕もキスの痕も、
セックスしたあとだって
あるのに。彼は居なかった。
――――
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