■ 20センチの恋焦がれ
俳優×平凡(ゆゆ様リク)
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テレビにちゃぶ台に座布団にタンスに押入れの中に布団が入っていて、付属キッチンとトイレと小さなシャワールームがあるだけ。
と、ボロいアパートに住んでいる俺、井崎 慙(はじる)28歳。何処にでもいるような男で、コンビニのアルバイトとスーパーのアルバイトを掛け持ちしている。
余裕はなく食費やらなんやらでお金がない。
そんな俺が唯一楽しみにしている事はテレビだ。ドラマを見るための。俺は中学.高校と地味な部活。演劇部に入ってたから、それの影響なのかドラマは欠かさなかった。
「あ、この俳優。演技上手」
感情移入がしやすく、共感するような演じ方。場面場面で、声質や音量もはっきり変えていて、唯変えているだけではない。なんというか。これは、心で感じるものだ。一人で納得。
その俳優は女子に人気が高く、年齢20歳と若いが力はベテラン並み。傷んでない、明るい茶色の髪は地毛なのか、彼によくあっていた。
金沢洋輔(ようすけ)という名前。今シーズンのドラマに何作品も出ていた。今人気だし忙しいだろうな。
コンビニのレジの時間だ、急いで支度し、ラフな格好で出る。コンビニは歩いて3分。
仕事場の人に挨拶して、着替えレジに立つ。ピッ.○○円です。と繰り返す。列がなくなって、あと一名になった時。商品出さないのと前を見た瞬間。
手を握られた。
「え、」
「俺と結婚して下さい」
そして、濃厚なディープキス。
顔を見ると、帽子と眼鏡をしているが声で分かった。
こいつ、金沢洋輔だ。
店員さんと客いなくて、良かった、とくらぁと立ちくらみがした。
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