■ 違う世界の俺達は
魔王×勇者/シリアス
――――
「ルシファっ好きだよ」
サラサラな黒髪を撫でる。彼の赤い瞳は全ての宝石より美しくて俺を魅了した。でもな、これで最後だよ。
『違う世界の俺達は』
「エルザス俺もだ」
君の髪に触れる。くるくるで金髪な彼は明るく俺を助けてくれた。
「国から指令が出たんだ。お前を殺したくない。でも殺さなかったら俺の家族を殺すって。なんて、理不尽なんだって思ったけれども。それが勇者の定めなんだよな。
だからーーーっ、ごめんな、
おれがしねば解決だ」
ぽつりぽつりと話して最後に一瞬。
エルザスは悲しそうに笑った。
ぶしゃぁと舞った血飛沫。後悔も躊躇いもない、その剣さばきは強く美しく動脈血を切り裂いた。
「...っあ、エルザスっ!!」
傍に駆け寄った。
ひゅー、ひゅー、と弱い呼吸はもう残りの命をあらわしているようで。
「待てよ、今回復してやるからな」
震える手で動脈血を押さえる。
そう言ってる間にも血液は失われて顔が青白くなる。
___いなくなるなよ、
お前のおかげで今の俺がいるのに。
涙がでそうだった。
『ーーー、ダークヒール』
俺の力は人間を憎む事で生まれるからなのか回復出来ない。最近はエルザスのお陰で憎しみの心を忘れて幸せでいっぱいだった。
魔族のトップだろ。憎むことって簡単だろ?人間を殺したかったじゃないか。
同胞を殺して、金を得て。自然を焼き払い住処を得て。
そう思うのに、いつもの俺に向けるエルザスの笑顔が離れない。はやくしないと、はやく。にくめにくめよ。おれ。出来るだろ。
どくどくどく。
血が失われる。手が冷たい。心臓も動かない。
エルザス笑えって。
そうお前は言ったのに
お前が笑ってなくてどーすんだよ。
なぁ。
ぽつぽつ、雨が降った。
――――
あうう(´;ω;`)シリアス
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