万事屋銀さんの恋人である夢主が、タイムリープして松陽先生と出会う話。
松陽先生メインの、松陽先生の二人称です。
松陽先生が話している相手が、貴女になります。




おや、目が覚めましたか。
お身体は大丈夫ですか?
急に倒れたから、吃驚したんですよ。
え?覚えていない?
私と銀時……あ、これは私のツレの子でして。
銀時と一緒に歩いていると、此方へふらふらとやってきた貴方は急に倒れたんですよ。
近くに休む場所もなかったので、こうして私の家に連れ帰ったわけですが。
あ!貴方の着物はね、裏の裏に住むおそのさんという女性のかたに頼んで着替えさせて貰ったので、ご安心下さい。
私ですか?
私は吉田松陽と言います。
彼処に隠れている子が、銀時。
ふふ。あれで隠れているつもりでしょうが、髪の毛が隠れていませんね。
さぁ、銀時。こちらに来なさいな。このお嬢さんに挨拶なさい。あなた、ずいぶんと心配していたじゃないですか。
おやおや。真っ赤になって。ふふ。許して下さい。どうしようもないクソガキですが、あれはあれで可愛らしいんですよ。


貴方がきてもう半月は経ちますか。
貴方はよく働いて下さって助かっています。
なんせ、男二人の生活でしたから。
ご飯は銀時が作ってくれていたので、問題なかったのですが、掃除に洗濯などずいぶんと助かりましたよ。ありがとうございます。
私に話ですか?
どれ。
お茶を飲みながら、ゆっくりとお話しましょうか。
……そうですか。
やはり貴方は未来から来たのですね。
何となく、そんな気はしていました。
私が銀時の名前を出したとき、貴方は驚いた顔をされていましたし、銀時を見る目が……少しだけ、ね?
銀時はこんな可愛らしいお嬢さんとお付き合いされているんですね。あ、もしかして突つき合いも?
なんて、冗談ですよ、冗談。

ここに寺子屋を開いたのはある子との約束だったのです。
松の下に学び屋を作り、子どもたちに学問を教え、私も子どもたちに教えられる。
日々成長していく子供たちの姿をみるのが、私の楽しみなんです。
銀時は少し複雑な子でしてね。あのこ今でこそどうしようもないぐーたらなクソガキですが、最初は手負いの猫みたいな子だったんですよ。
本当に銀時はよく成長してくれています。私が彼に日々助けられるばかりで……。
私がこれから先、ずっとあの子の傍にいられるとは限りません。
未来の銀時は貴方が泣いたときどんな風に慰めてくれるんでしょうね。
あのこ、手先は器用なくせして不器用な言葉しか言わないから。あんな生意気な子供ですけれど、根はとっても優しくて、いい子なんですよ。
だって、こんな私に希望を、生きる意味を与えてくれた子ですから……。
あの子は貴女とどんな家族を築いていくのでしょうか……。
もう少し貴女と銀時の馴れ初めを聞きたいのですが、それは、未来のお楽しみと致しましょう。

さぁ、もうおゆきなさい。
ここに長居してはだめだ。



さようなら、また会う日まで。



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