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NOVEL
▼重なる、

「部長ってホント日焼けしないっすねー」
「そうかい?」

休憩中にドリンクを飲みながらベンチに腰を下ろすと赤也がやってきた。じりじりと日差しが眩しく尚且つ暑い。赤也はタオルを首に巻きながら額についた汗を拭った。うーんと幸村は手でぱたぱたとシャツを扇いで見せる。コートの外からは女子の黄色い声援が飛んで来るが無視だ。赤也に倣って幸村はエメラルドのバンダナを取るとタオルで拭いていく。

「まぁ、日焼け止め塗ってるからね」
「でもこの炎天下じゃ汗かいて落ちちゃうじゃないっすか」

はは、確かに。そう言うとにっこりと幸村は微笑む。汗を拭き終えるとまたドリンクを飲む。赤也に隣いいっすか?と聞かれればどうしよっかなぁなどと言ってからかってくる。赤也は曖昧な返答にお構いなく隣に座って、幸村のシャツの襟元を引っ張る。

「ぶちょー、これどうしたんすか?」
「え、」

赤也が襟を引っ張るせいで首筋が晒されてしまう。そこは先日真田につけられた痕だ。部活が終わり、部室で着替えている時だった。欲求不満だったらしく所有印をつけさせろと言い、無理矢理つけられたものだ。全く、赤也に見つかるなんて想定外だ。このままでは襟が伸びてしまうので赤也の手を放して、困った様に微笑みながら虫刺されだよと告げた。赤也は単純で馬鹿だし嘘を言っておけば通じるだろう。だがしかし、今回はそうもいかなかった。

「…鬱血みたいになってるっすよ?」
「…そ、そう?じゃあぶつけたのかも」

さすがに気付かれてしまってはまずいので、ちょっと顔を洗ってくると言ってその場から逃げるように立ち去る。水道に向かえば先客がいた。帽子をかぶりキスマークをした張本人だ。幸村はじゃりっと真田の後ろに立つとはぁ、と小さく溜め息をついた。真田は後ろに立つ幸村に気づきちらりと見た。

「真田、この間、」

話かければ蛇口の水をすくって顔を洗い出した。話の途中なのにーーと思いながら待つ。真田はぱしゃっと洗い終えるとタオルで拭う。少し前髪が濡れていて雫がひとつ落ちた。真田に「さあ使え」と言わんばかりに退かれてしまった。幸村は仕方なく顔を洗うことにした。蛇口を捻れば水が出てきて冷たくて気持ちいい。水浴びをしたくなる気分だ。すっきりしたところで、少しバンダナをすると真田は話があるんだろうと言う顔でこちらを窺っている。真田に体を向ければ不意に腕を引かれて抱きしめられる。どうせ抵抗しても離さないんだろうなと察知した幸村はそっと抱き返すだけだ。こんな炎天下の中で男が二人で抱き合っているなんて。なんて暑苦しい光景なんだ。幸村は話の続きをするが真田はあまり聞いてないようだ。気がつけば真田は首筋に顔を埋めていてちろ、と舐められた。

「っあ…」

先日つけられたキスマークの上にまた痕をつけられる。鬱血のようになっていた所有印はまた赤くなる。ちゅうっと少し強めに吸われてひくんと肩が揺れる。この光景を誰かに見られたらどうするんだと思いつつ、真田の肩をとんとんと叩いて離れるように促す。満足げに微笑む真田に幸村は呆れた。

「隠すの大変なんだからね」

そう告げると触れるだけのキスをした。


[2012.5.16]

配布元:affirmation



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