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NOVEL
▼女同士の秘密

凌牙は説明するのが面倒臭そうに頭をがしがしと掻いた。遊馬の手を離さないように手首を掴む。遊馬の手は今も凌牙の胸を触っていることになる。遊馬より大きい凌牙の乳は柔らかくて弾力のある、形が美しいものだった。遊馬は姉の明里や小鳥の胸の大きさを知らないし揉ませてもらったこともない。遊馬にとっては未知の感覚でなんだか不思議と恥ずかしくなってしまう。凌牙は遊馬の手の上に手を重ねて動かす。自分の胸を揉ませてみたのである。わっ、と遊馬は小さく声を出すが凌牙は手をやめようとしない。その初々しい反応を見て凌牙はクスリと小さく笑った。自分が女性であるということを知ってもらうためだろうか。

「…騙してて悪かった」
「えっ…いや、俺の方こそ…なんかごめん…」

凌牙は遊馬の手を離すと、軽く溜め息をついた。遊馬は帰りにアストラルと凌牙が女だという話していたことを思い出した。あれは本当だった、けどどうして男子の制服なのかと疑問に思った。凌牙は遊馬を見ると顔に書いてあるのに気付く。

「…女っぽくないから」

凌牙はそう言いながら視線を逸らすように外を見つめた。窓から見る月はとても小さく見える。まるで今の自分のように。どうして女で生まれてしまったのだろうか。親を恨んでいるわけでもなく、憎んでいるわけでもない。でも自分には可愛らしさがないのだ。綺麗だと言われてもちっとも嬉しくなかった。

「そ、そんなことない!」
「遊馬・・・?」

遊馬が俺は、と口を開いたのはいいものの次の言葉が見つからない。凌牙は遊馬に耳を傾ける。相変わらず腹の痛みは酷いのだろう。未だに手が添えられている。
遊馬は今まで頬を染めていた顔から一変して真面目な表情に変わる。

「だって俺より可愛いし、それに・・・む、む・・・」
「む?」
「・・・・・・胸だって大きいし・・」

そう言うと遊馬はまたかあぁと頬が赤くなり徐々に声が小さくなっていく。俯きつつも遊馬はちらっと凌牙を見る。そんな行為に凌牙はフッと笑みを小さく零す。どうしてこいつはこんなに可愛いことを言ってくれるんだろうか。

「まだ触りたりないのかよ」
「ちっ、違うって!」
「じゃあなんだよ、揉んで欲しいのかよ」

遊馬は恥ずかしそうに頷いた。本気かと思ったが如何にも触ってくれと言わんばかりに無防備である。凌牙は遊馬の願い通りに胸に手を添える。まな板はないがほんの少し胸の膨らみがある。ふにっと効果音がしそうなまだ小さい胸を揉む。

「んっ・・・シャー、ク・・・」
「やっぱ小せぇな」
「う・・・そんなこと言うなよぉ・・・」
「胸は揉むと大きくなるって言うぞ」

凌牙は俺が大きくしてやるというように胸を揉みしだく。その時の凌牙の顔は今まで見たこともないくらい鬼畜に見えた。


[2012.04.17]


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