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NOVEL
▼ふたり


二人でこうやって身を寄せ合うのはいつ以来だろうか。ジャックは遊星を後ろから抱き締め、毛布と一緒に包まる。
―――あたたかい。
遊星がほうっと彼の温もりを感じながら作業をする。だがそれをジャックが阻止する。そしてこっちを向けと言わんばかりに機械の方に向いている遊星の体を反転させる。お互い向きあうようになり、ぎゅうっと遊星の体を温めるように抱き合う。

「作業…」
「後でもいいだろう?」
「…じゃあコーヒー…飲むか?」
「いらんな、すぐに温まる。」

遊星は仕方なく作業する手を止め、ジャックの胸板にぽふっと埋もれた。ぽつりと小さな声で遊星が呟いたのが聞こえた。ジャックはそれに応え、冷えた体を温め合う。
ガレージの中は寒い。ヒーターのついていない部屋での作業は体が耐えられずに悲鳴を上げるだろう。
今の時間は一番冷え込む。ぶるりと体を震わせるとジャックの温かい手がそっと肩を寄せてそこからじんわりと温かさが染みわたる。



[2010.3.6]



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