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NOVEL
▼愛しい温もり

生理ネタご注意。
流血表現あり。


うっすらと目を開けると、そこは見たことのない場所だった。質素な部屋には壁に何も飾られていない。カレンダーや時計は置き型でベッドのサイドテーブルに置かれていた。気付けばもう夜だった。もぞ、と重い体を起こすとこの部屋のドアの先から声が聞こえる。思考回路が追いつかない。状況が分からない。そしてお腹も何故か痛い。ふらふらしつつもなんとか意識を保つ。そうだ、自分はあの後凌牙と一緒に帰ることになった。だがそれ以降の記憶がない。何故だろうか。遊馬はD−ゲイザーで家に連絡しなければと思ったが手元にないため、ポケットからベットの脚元に置いてあるバックまであらゆるところを探し始める。だがどこにもなかった。どこかに落としたのだろうか…するとドアが開いて誰かが入ってくる。誰かと思えば凌牙だった。

「しゃ、シャーク…?」
「大丈夫か」

ここはどこなのか聞こうとするとタイミング悪く尋常じゃない腹への痛みがやってくる。きゅうっと締め付けられるようで思わず左手でお腹を擦る。右手は苦しさに耐えるためかギュッと布団を握りうずくまる。凌牙はベットに腰を掛け、遊馬の手の上に重ねるようにしてお腹を擦ってくれた。

「なぁ・・・なんで俺ここに・・・」
「お前が青ざめた顔してたから、俺の部屋に入れただけだ」
「ごめん・・・」
「そこは謝る所じゃないだろ」

凌牙はそう言いながら頭を撫でてくれた。何か食べるかと言われ、首を横に振る。そんな気分じゃなかったからだ。そんな会話をしてる間にも下半身への不快感は増すばかりだ。どろっとした血が溢れていくのを感じる。だが凌牙は一度部屋を出て、軽い食事と鎮痛剤を持ってきてくれた。

「少しでいい、食べないと体持たないだろ」
「・・・うん」

凌牙の優しさに、彼の体に触れたことにより先ほどより気分が落ちついてきた。遊馬が遊馬は少しずつパンやスープに手を付ける。軽く食べたところで鎮痛剤を水と一緒に飲む。薬はやっぱり苦い。良薬は口に苦しとはこのことだ。

「お前の家に連絡しておいた。D-ゲイザー勝手に使って悪かった」

そういうと凌牙はポケットから遊馬のD-ゲイザーを出す。そして遊馬の掌に乗せる。遊馬は首を振りながらありがとうと凌牙に告げると、気にしなくていい。と言ってくれた。やはり凌牙は優しい。何故こんなに優しいのだろうか…。遊馬は凌牙の胸に身を預ける。

「シャーク…あったかい…」
「…そうか?」
「うん」

それに、すごくドキドキしてる。心の中でそう呟いた。自分もきっとドキドキしてるかもしれないと思うと嬉しくなった。ぎゅっと凌牙の胸元の服を掴むとなんだか柔らかい感触が手に伝わる。

「っ…ゆ、遊馬…」
「…え?」

遊馬はおかしいと思い、そのまま手を動かしてみる。結果的に胸を揉んでいることに変わりはない。間違いなく凌牙には胸があった。


[2012.04.17]


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