「湊湊、見て。じゃーん」
「おぉっ!すげぇっ!ハートだっ!器用だな」
「にゃー、よくハートのラブレターを貰うから開いてるうちに覚えたんだー」
「お前まだラブレター貰って…まぁ良い。それ、どうやって折るんだ?」
「湊は不器用だからねー。優しい楓君が見本見せてあげるよん。はい折紙」
「サンキュ。まずどうすんだ?」
「まずはー、こうやって折目付けてー、あとはちょちょいって」
「なっ、早いって!えーと、ここは、こうで…」
「あはっ、湊ぶっきよー。ぐちゃぐちゃじゃん」
「うっせぇ。楓、もう出来たのかよ」
「うん。これぐらいらくしょー」
「えぇと、こうで、こう…あれ?」
「湊ー、暇ー」
「ちょっと待てって。もう少しで…あれ?違うなぁ」
「湊ー」
「だからちょっと待てって!」
「……俺暇なんだけど」
「あと少し…」
「あっそ。ずっとやってれば?俺どっか行っちゃおっかなー。そういや今日遊ぼって誘われてたし」
「なっ、待てっ…で、出来た!どうだっ」
「……ぐちゃぐちゃじゃん」
「でもハートに見えるだろ。でさ、楓…その」
「なーに?」
「お、お前が作ったやつ、俺にくれねぇか?ほらっ、ちょうど赤だし欲しいなーって」
「……いいよ。はい」
「なっ、何で半分に破くんだよぉっ!」
「んとねー、俺を放置した挙げ句待たしたからー。だから今日はもう一緒に帰ってあげない。じゃあね」
「え……そっか」
「……いつも思うんだけどさ、止めないの?仮にも俺ら恋人同士だよねぇ」
「仮にもじゃなくてちゃんと恋人だっ。…お前束縛嫌いって言っただろ。約束もしたし」
「そうだねー」
「それに、破れてても楓が作ったハート貰えたから今日はこれでいっかなって。破けてもテープで貼れば良いしな!」
「……ん」
「なっ、何だその手?」
「そのぐちゃぐちゃでぶっさいくなハート、貰ってあげる」
「えっ」
「早く渡す」
「は、いっ」
「あと、ん」
「そっちの手は何?」
「何って、繋ぐに決まってるでしょー?一緒に帰りたくないの?」
「帰りたい!」
「んじゃ帰ろっかねー。あ、そうだ。今日湊の家泊ーまろっ」
「また急にっ…別に良いけど」
「みーなと」
「何?」
「家帰ったらまたハート作ってあげる。赤の折り紙で」
「おうっ」
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