11月11日[折紙の日] | ナノ
 



「湊湊、見て。じゃーん」

「おぉっ!すげぇっ!ハートだっ!器用だな」

「にゃー、よくハートのラブレターを貰うから開いてるうちに覚えたんだー」

「お前まだラブレター貰って…まぁ良い。それ、どうやって折るんだ?」

「湊は不器用だからねー。優しい楓君が見本見せてあげるよん。はい折紙」

「サンキュ。まずどうすんだ?」

「まずはー、こうやって折目付けてー、あとはちょちょいって」

「なっ、早いって!えーと、ここは、こうで…」

「あはっ、湊ぶっきよー。ぐちゃぐちゃじゃん」

「うっせぇ。楓、もう出来たのかよ」

「うん。これぐらいらくしょー」

「えぇと、こうで、こう…あれ?」

「湊ー、暇ー」

「ちょっと待てって。もう少しで…あれ?違うなぁ」

「湊ー」

「だからちょっと待てって!」

「……俺暇なんだけど」

「あと少し…」

「あっそ。ずっとやってれば?俺どっか行っちゃおっかなー。そういや今日遊ぼって誘われてたし」

「なっ、待てっ…で、出来た!どうだっ」

「……ぐちゃぐちゃじゃん」

「でもハートに見えるだろ。でさ、楓…その」

「なーに?」

「お、お前が作ったやつ、俺にくれねぇか?ほらっ、ちょうど赤だし欲しいなーって」

「……いいよ。はい」

「なっ、何で半分に破くんだよぉっ!」

「んとねー、俺を放置した挙げ句待たしたからー。だから今日はもう一緒に帰ってあげない。じゃあね」

「え……そっか」

「……いつも思うんだけどさ、止めないの?仮にも俺ら恋人同士だよねぇ」

「仮にもじゃなくてちゃんと恋人だっ。…お前束縛嫌いって言っただろ。約束もしたし」

「そうだねー」

「それに、破れてても楓が作ったハート貰えたから今日はこれでいっかなって。破けてもテープで貼れば良いしな!」

「……ん」

「なっ、何だその手?」

「そのぐちゃぐちゃでぶっさいくなハート、貰ってあげる」

「えっ」

「早く渡す」

「は、いっ」

「あと、ん」

「そっちの手は何?」

「何って、繋ぐに決まってるでしょー?一緒に帰りたくないの?」

「帰りたい!」

「んじゃ帰ろっかねー。あ、そうだ。今日湊の家泊ーまろっ」

「また急にっ…別に良いけど」

「みーなと」

「何?」

「家帰ったらまたハート作ってあげる。赤の折り紙で」

「おうっ」



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