10月16日[ボスの日] | ナノ
 



部下達の様子がおかしい。
いつもは眉間に皺を寄せて凶悪犯のような人相の悪い顔をしている奴等が今日は気色が悪いぐらい笑顔だ。
しかも俺を見るなり気色が悪い顔で笑う。

何故だ?何かデカイ仕事を終えたという訳でもねぇのに。
俺の誕生日…はとっくに終わってる。
まさかデカイ失態を誤魔化す為に笑ってるとかか?
前も自分達でけりをつけようとしていた時も笑って機嫌取ってきたしな。十分有り得る。
もっとボスの俺を頼ってほしいものだが…そんなに頼りねぇのか?
失態ぐらいで怒ったりしねぇからよぉ、もう少し俺を…

「ボス」

「……何だ?」

「少しお話が」

俺より少し上にある秘書に視線を向ける。
こいつまで笑ってやがる。ああでもこいつはいつも笑ってるな。
眼鏡を上げてから俺の手を掴んで奥の部屋へ連れていかれる。
一体今日は何があるってんだよ。

「さぁ、どうぞ」

秘書が扉を開けた先に促されるまま足を進めるとそこには全員集合していてテーブルにはご馳走の山が。
他にも俺の好物の焼酎に泡盛、ブランデー…って何だこれ?


「「「ボス!いつも有り難うございます!」」」


一斉に頭を下げられて思わず身構えた。
いきなり何だってんだ?
固まっていると中に入ってきた秘書が後ろから腰に腕を回してきた。

「今日は日頃お世話になっているボスに感謝をする日なんですよ。いつも有り難うございます」

「てめぇ!抜け駆けしてんじゃねぇぞゴルァ!」

「ボスっ!そいつから離れてこっちに来て下さい!酒注がさせて下さいよっ」

「ずりぃぞっ!俺にも是非!」

「俺も俺も!」

次々と部下が酒のボトル片手に寄ってくる。
俺は何心配してんだよ。
こいつらはこんなにも慕ってくれてるじゃねぇか。
最高の仲間達を疑ってる場合じゃねぇな。
何が何でも一生こいつらの面倒を見てやるか。


「ありがとな」

注がれていく酒を飲んで俺は心の中で強く誓った。


「(本当に仲間に恵まれて良かった)」

「「「(ボス最高に可愛いです!」」」

「(こいつらにボスは誰のものなのかまた教え込まないといけませんね)」



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