先ほどからくすぐったさを感じる自分の首元には、冠葉の頭がもたれ掛かるようにして置いてある。断続的にかかる吐息からかろうじて相手が呼吸という生命活動を繰り返していることが分かり、張り積めていた何かがぽろぽろと崩れて流れていく。冠葉は一体何がしたいのだろうか、疑問に思っても口にはしない。多分今彼の世界を守る唯一のものは、沈黙というバリケードだけだと思うのだ。
興味本意で崩してはいけない。勝手になんでもかんでもしょいこんでしまうこの困った自分の兄は、自分自身を守る術を知らないから。器用に見えて変なところで不器用なその様は、きっと自分がこの兄より劣っているということを少しでも埋める、謂わばハンデみたいなものだ。双子なのに、自分と兄とじゃまるで似ない、その差を無くすための救済措置でも言おうか。自分が苦手なことを兄は得意で、兄が苦手なことを自分は得意で、二人で仲良く互いの欠けている部分を補えというカミサマってやつのいらないサービス。これを運命とでも呼んだら、兄は、冠葉はきっと顔を盛大に歪めてこういうだろう。
“運命なんて、信じない。”
それには自分も全く持って同意する。だから今日も自分は、上手く泣けない兄の背中をそっと撫で続けるだけなのだ。


カミサマの選んだ庭
(:20110821)
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