非力な自分に何ができるのかと、飽きる程考えた後ならば容易にそれをすることができた。
華奢だと表現することに躊躇を抱かない身体は簡単に吹き飛んだ。誰のせいで? 何をされて? 一瞬のうちに脳裏を駆け巡る情報からかろうじて読み取れた結論でもって、全身は炎を帯びたように途端に熱くなる。
――アレか。
即座に狙いを定めた眼からは、鋭い火花が散るようだった。
「――アマテラス」
心の海に問いかける。承知したと言わんばかりに背後に降り立つ荘厳な気配。
標的は、ただ一つ。
「アギダイン!」
腹の底から唸るように、叫んだ呪文はさながら地獄の業火ような炎を容赦なく視線の先で群れるシャドウに向けて浴びせかけた。
つんざくような醜い悲鳴も聞こえなくなる前に、全速力でもって地面に倒れ伏せる彼へと駆け寄った。
「花村君っ!」
周囲に飛び散っていた血液の惨状とか細いが確かに意識はあるような彼の呼吸音から、負わせられた傷の程度を把握する。
「アマテラス、ディアラハン」
簡潔に早急に、自身のペルソナへと指示を下せば意図の通り優しく柔らかな光は彼へと向けられる。
「――あま、ぎ……?」
掠れ声ではあるが耳に届いた声に、安堵の吐息が漏れた。
「よかった……」
「あ、……悪い、油断した」
「ううん。大丈夫? 動ける?」
「おう、ありがとな」
「うん」
再び立ち上がる彼の眩しくも美しい姿に目を奪われる。真っ先に駆けつけた己に気づいてはくれないだろうかという淡い期待も仄かに抱きつつ、自分もまた彼が対峙する相手と戦うべくして立ち上がった。
「さっきはやられちまったけど、こっから猛反撃といきますか!」
「うんっ」
好戦的な瞳でまっすぐ前を貫く彼の横で、ばさりと音をたてて扇子を大きく広げる。
さあ、次はこちらの番だ。


いざやすすめ
(:20130207)
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