不器用という三文字を並べてみる。わりと自分にはぴったりで、それが余計に泣けた。ひとりよがりなのはどうも嫌いで、でもそれ以上にひとりなのは死にたくなるほど嫌いだった。
だから追いたくなかったし、でも追いたかった。すがって、泣きついて、暴いてもらえれば素直になれた。今は、正直遠慮してほしいけれど。


覚悟はしていた、予感もしていた。そういう奴だと、運命みたく決まっていたことが分かっていた。正しくは、分かった“フリ”をしていた。
子供の頃からずっと前に進めないのは、そうすることで奴の側に少しでもいようと思ったから。子供であるふりをすれば、置いていかれないと思ったから。
けれど、やはり無理があった。人は進む、それはどんなに自分が嫌がろうとも、否応なしに。分かったふりをしていた自分は、いざその事実が目の前に突きつけられたとき狼狽えた。みっともないくらい盛大に、その時だけは年相応の子供のように。
瞼を閉じ、内側に広がる情景に想いをはせ、そして蓋をする。鍵をかけて、もう一生ここから出すつもりのないものに別れを告げる。


決別の時だ。やるべきことも、必要なものも全て知っている。幼いだけのあの頃にはもう二度とは戻れない、今度こそ分かっている。
後悔はない、やり残したこともない。驚くことに、今自分はとてつもなく清々しい気持ちでいっぱいだ。足枷を自ら外した解放感と、上手く地に足をつけない不安定さ。しかし、じきに慣れる。
さあ行こう、無垢のままの自分はすでに捨て去った。これからは、彼方に行ってしまった彼とは別の方向へと歩み出さなければ。
寂しくないといえば嘘になる。でも自分を信じてくれる奴らに面目が立たないから、それさえも押しやる。


進め、ただひたすらに。
例え彼と一生道が重なることがないとしても、せめて次に会うときにはどうか、かけがえのない友人であることを喜び笑えるように。


(:20120725)
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