※主人公:月森孝介
ざわざわと胸の奥が鳴り止まないのはきっと、花村の少し蕩けたような笑みがちらりと視界の隅を横切ったから。先輩、とまるで主人に懐く犬みたいにその後姿に尻尾が見えたのはきっと俺の見間違いなんかでもなんでもなくて、里中も呆れ気味に花村を見ていた。花村と彼女が言葉を交わす度にざわざわ、ざわざわ。おかしいななんて首を傾げてみたけど結局なんの解決にもならなくて、ようやく花村がこちらに戻ってきたとき彼女は次は俺に話しかけてきた。やっぱり都会っ子同士は気が合う?なんて聞いてきて、ぶっちゃけそんなのろくに話すことになって一日もたっていない俺からしてみればなんて返答すれば良いのかすごく迷って、そしたら彼女はああ、でもうざかったらうざいっていいなね?なんて。それはないと心の中で即答した。口には出さずにいたら花村が彼女に向かって酷いなっておどけてみせたから、ここは余計なことを話さずにいた方がいいなと思ってあえて無言を貫いた。それから彼女が仕事へと戻る姿を名残惜しげに見つめる花村の視線が早くこっちに向かないかなってその数秒の時間を持て余した後、里中が花村のことをからかったので大人しく二人の会話に耳を傾けた。照れて否定する花村に先程よりは落ち着いたざわつきを閉じ込めて話かけたりして、そこから里中がマヨナカテレビなんていう奇怪な話を持ち出してきた頃には、遠くの方でタイムセールの放送が流れていた。
「じゃあ、また明日な月森!」
「うん」
らしくないのが気持ち悪い。いったいなんだったんだろう。
I don't know such a thing.(僕はそんな事知らない)
二週目のセンセイあたり。
パラメーター頑張ってmaxにしたのにどうも花村の前だと残念美人になってしまうセンセイ。既視感に首傾げつついろんな人に花村に向かってくるいろんな人に嫉妬するセンセイはきっと告白するまでにえらい時間がかかるんじゃないかなあと思います。
(:20111104)