妹達が級友を連れて家に遊びに(乗り込みに)きた。
「初めまして義兄さん。突然ですが、妹さん方を僕にください」
出し抜けに発せられた言葉に、唖然としたその時の自分の気持ちが分かるだろうか。
「は?」
「ああ、自己紹介が遅れました。黒沼青葉って言います、妹さん方とはクラスメートで…」
「いやいやいや」
ナチュラルに会話を続けようとしている自称級友である彼の口を止めようと試みる。
「まさかイザ兄、今更になってシスコン魂とか働いちゃったのかな?!うわあ、気持ち悪いね!」
横から茶々を入れてくる妹にも屈しない。口元を引き攣らせつつも、なんとか言葉を続けようとする。
「やっぱり、認めてもらえませんよね…」
「いやいやそういうことじゃないよ、っていうかこいつらがどうなろうと正直俺は知ったこっちゃない」
「えー、イザ兄ひどーい!」
「兄(兄さん)……酷(見損なった)…」
「自分たちの欲のためだけに兄を売るような人間を妹と呼べるのならその非難も聞いてやらないこともなかったよ」
後ろで飛び交う自分への罵声の数々に耳を塞ぐ。目の前で対峙する級友くんは、それでもなおニコニコと笑みを崩さない。
「じゃあ、何がいけないんでしょうか…年ですかね?」
「えっと…君にはまず常識っていう言葉は脳内にインプットされてないのかな…。というかまず、そういうのは俺じゃなくてこいつらの両親へいうはずのことじゃない?俺関係ないし」
「訳(だって)…兄(兄さんが両親の代わりだし)…」
「一応便宜上の保護者は今イザ兄だし?」
「そういう訳です」
「どうしてこうなった…」
しゃがみこんで頭を抱えたい気分だった。このじゃじゃ馬たちは俺に何をどうしろというのだろうか。というかそもそも、俺とこの級友くんは一応仲が悪いっていう設定じゃなかったはずかと頭を悩ませる。
「えっと…黒沼くん、だっけ」
「青葉って呼んでください、お義兄さんと僕の仲じゃないですか」
「そんなフラグは立ててないはずだけど」
「イザ兄それでどうするのー?」
「承(了承するの)…?」
頭痛が痛い。
「…もう勝手にして…」
「ありがとうございます、流石お義兄さん」
「疲(げっそりしてるけど)」
「イザ兄はいつもこんな感じだから別にいいんじゃないかな!」
「誰のせいだ誰の」
それから数分後、双子のいきなりの白状によって“娘さんを僕にください”発言は全て嘘であったことが知らされた。
そのことにまた自分が頭を抱えたのは言うまでもないだろう。
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