※先天性女体化臨也



久しぶりに買い物にでも行こうと思い立ち、パンプスを引っ掛けて出かける先は池袋。あそこにはだいたいのものが揃っているから、いっぺんに必要なものを購入するには大変楽である。
自分の住む新宿は何かとブランドにこったものばかりで堅苦しく、たまには高校時代のあの気軽さを楽しみたいものだと思う。そんな休日。
「まだ買うものあるから、荷物番よろしくねシズちゃん」
「長いんだよ手前は……」
「私だって女だよ?いろいろと買うものに悩むことだってあるんですー」
「の割りにはシンプルなものばっかだけどな」
「ひ、人の買い物にけちつけない!」
「へーへー」
今日この池袋に来るにあたって、ボディーガードなるものの役割はこの金髪の男に全て任せている。勝手にこの街に来て遊ぶことには文句を言っては追いかけてくる理解不能なこの怪力男は、しっかりと事前に連絡一つでも入れれば案外大人しくしてくれるらしい。
意味の分からない言動に疑問を投げ掛けたくはなるものの、今はそんなことよりもせっかくの穏やかな休日を楽しもうと思った。人間気にしたら負けだと思ってる。
「あ、ケーキ」
「さっき昼飯食ったばっかりじゃねぇか。太るぞ」
「刺すよ?」
「そうカリカリすんな」
「うるさい!っていうかなんかさっきからシズちゃん態度でかいうざい!あと、デリカシーがない!ほんと最悪」
「なんで手前みたいのに気使わなきゃいけねえんだよ」
「じゃあはなっから買い物付き合わなきゃいいじゃん。いつものことだけどシズちゃんって意味分かんない」
「うるせぇ」
ほら、行くんだろ?と言われてしまえばまあこの後もまだまだ生活必需品とか諸々買いに行くつもりであったので反論はできないのだが、しかしこの男全くもって理解不能である。
そこら辺も全部まとめてトータルで嫌いなのだが、今日の奴は大人しい癖に生意気で気持ち悪い。ああやだやだ。
「変なシズちゃん……」
「手前の方が変だ」
「失礼な」
「全然失礼じゃねえよ」
「うわー、これだからシズちゃんって嫌いなんだよ」
「奇遇だな、俺もだ」
「………」
じゃあなんでそんなに構おうとしてくるんだよとは、あえてつっこまないでおいた。


(:20120523 加筆修正)
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