癖と言っていいのか、臨也さんはよくヘアバンドをしたまま寝ることがある。それは多分風呂上りの眠気に勝てないままベッドに倒れ伏せてしまうからかもしれない。自分が注意すれば次の日からは直ることなのだが、彼のそんな無防備な姿は滅多に見れないので、少々言うのはもったいなく感じてそのままにしてある。
翌朝には寝癖よりもすごいことになっている前髪にショックを受けている彼が、可愛くて可愛くてしょうがない。他人に指摘されないとなかなか直らない、変なところでおっちょこちょいな彼が好きだ。普段かっちりしている人間が、たまにそそっかしいのはなんていうか、ギャップ萌え?だったか。とりえず、可愛くて大変おいしい。
あと、曝け出されている額に気づかれないようこっそりとキスするのが好きなので黙っているというのもある。彼はガードが固く、なかなかそういったスキンシップをとらせてくれない。だから、そうやって彼の白く綺麗な体の一部に口付けて、静かに彼を愛でるこの行為がとても好きだ。いつか大きな声で愛してるといって、腕いっぱいに彼を抱きしめて、窒息してしまいそうなキスをして、そうやって彼を甘やかしてやりたい。
いつも頑張っている彼に、安らぎを与えてやりたい。
「なに、気持ち悪いよデリック」
「ひどっ!」
「にやにやしてる顔どうにかしてから言いなよ」
「はーい……」
たまに辛辣だけど、ちゃんと想ってくれていることはとっくのとうに分かってる。たまーに不安になるほど荒んでたりするから、微力ではあるが慰めてあげたりする。傷ついて帰ってきた日には、労わって労わって、そのぼろぼろになった身体をほぐして癒して、また明日にはいつも通りの彼が見れるようにする。そうして、また無防備な姿に笑いを零しながら毎日をすごしていくのだ。
とても素敵な日々だと思う。それを実行できるように尽力を尽くすのは自分。だから、いつでも俺は笑顔を絶やさないようにと表情を保つ。
「臨也さん、一緒に寝ましょう」
おやすみからおはようまで、一緒に彼とこの部屋で過ごすのだ。


(:20120222 加筆修正)
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