▼2014.06.15(Sun) お前にはわかるまい(ディオ青)
「お前が誰だろうと、構わない」
その一言がディオの唇から放たれる瞬間、裏切りにも似た衝撃に目を見開く。見上げる空にいつ光の渦が現れるとも分からぬ今に、そんなことを言うのかと。
エゴに近いものを押し付けられる予感を青葉は静かに感じ取り、目を瞑ることさえ許されぬこの瞬間を恨んだ。本当に、本当に酷い。今更そんなことを言って、ディオは一体どうしたいのだろう。崩れ落ちる自分の姿でも見たいのだろうか、それはどこまでも自分勝手で、青葉には到底理解しがたいことだった。
「俺が必要だと言え…! そうすれば、俺は……」
彼が身勝手を通すのならば、青葉の返答はすでに最初から決まっていた。
それはディオにとっての裏切りになるだろうが、それ以外青葉には最善など思い当たらなかった。
「――必要ない」
言葉の鉛を打ち出して、青葉は真っ直ぐディオを貫く。
今の青葉にとっての最良の選択は、拒絶という高い高い壁を築き上げてしまうことだった。
「もうこれ以上、俺に関わらない方がいい」
青葉は目を閉じ、青葉にとってのエゴを押し付ける。
瞼の裏で、あの日見た光の渦が想いも願いも吸い込んでしまうようだった。


title:棘

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