どたばたどたばたどたばたどたばた。



―――バンッ!!!!


「〜〜〜〜ッ!!!!」


入ってきたのは


マオぼうや。



【歌と声】



マオはサレの部屋に入るなり

かなり険しい顔つきでサレにズカズカと近付き


一歩手前で止まった。


「………何?」


ソファに座ったままの状態でマオを見やるサレ

マオは

手をぶんぶんと振った。


「何…」


訝しげに再度問うが、やはり手をふり続けるだけ

サレは質問を変える。


「…ぼうや。

声はどうしたのかな?」


その質問を聞き終えて

再度手を振り回すマオ

出ないというジェスチャーなのか

ともかく、サレは紙と筆記用具を用意し、


「書いてくれる?」


と言う。






「…何?『トーマにワルトゥを悪用されて声が出ない』…」


悪用?


「なんで悪用されるんだい」



『おしおきだとかなんとかでワルトゥを騙したんだヨ!!』←紙に書いている


「あの牛…暇だね」

『まったくだネ』


声が戻ったら罵詈雑言でのめしてやる、といわんがばかりに黒い笑みを浮かべているぼうや。

まぁ、そんなの僕に迷惑かからないならいくらでもやりゃいいけどね


「で?発動のきっかけの音は?」


紙にペンを走らせるぼうや

僕は固まった。


『僕の歌☆』


…というと


「あの少し音程の外れた?」

『失礼な。
…でも、サレなら歌えるはずだヨ♪』


毎日聞いてるでしょ?




にこやかに語りかけられてる気がした。


歌えなくはないよ


いや


「…他あたってくれる?」


歌いたくないから。


『サレぇ〜…僕のために
お・ね・が・い☆』


かわいこぶってみてるつもりか


少しキモい。


『何かいったらあとで永眠愚heatだヨ』


当て字が


当て字が凄い微妙


じゃなくて。


この国に漢字とか無いから。


っていうか永眠とかもうありえないから。


『サレ〜』


「拒否」


『サレ〜』

「却下」


『サぁレえぇ〜』


「お化け屋敷か。
…っていうか、これ…ぼうやの策略じゃないよねえ?」

『うん。今回は違うヨ』


今回は、が気になるけどね


『おねがいだヨ〜牛を焼きk……いやいや、のめしたいんだヨ!!!』


導術系だから声が無いと無理なわけだ。


「うるさくしてない?」

『してない』


迷惑だったからとかかな



まぁ僕的にはどうでもいい


『歌ってヨ〜』
「断る」
『………犯すヨ?今日の君は随分と美味しそ「わかった。わかったからやめて」


身体を秤にかけられた



こいつはねちっこいから


今のうちに言うことを聞いとこう…


…僕としたことが…

こんなことに脅されるなんてね…






「で?どの歌だったのかな?」


『わかんない。何歌ってたかなあ』



それさえも覚えてないのか


質が悪い



『片っ端からどぞ』
「〜〜〜……」


嫌だなあ…


僕がものすごく嫌な顔をすると、ぼうやはどこからともなく楽器(タンバリン)を出し


ならしはじめた。


小学生の音楽会か…?



凄い虚しく思いつつ、歌っていってみる


森の歌

星の歌

雪の歌


……………何があったかな…



「あんまり歌わないもので暗示かけられたね?」
『う゛ーん…』



次はあれいってみようヨ、と紙に書くぼうや


いい加減うんざりだよ…



まず先にぼうやがくちぱくで歌う。


『ぼくらは葉っぱ』
「ぼくらは葉っぱ」
『黄色い葉っぱ』
「黄色い葉っぱ」
『あーかいはっぱ』
「あーかいはっぱ」
『…あとは散るだけの運命さ…』



暗…


一応復唱。



……
…………
………………


「うわあい!!!声が出るヨ!!!」


なんとも暗い歌で暗示が解けた。


まあ


これ以上歌わなくていいなら


いいんだけど。


「サレありがとvV
大好きだヨvV」


ぎゅっ、と僕に抱きつくぼうや


僕は柄にもなく顔を赤く染め


「…どういたしまして」


と呟いた。

ぶっきらぼうなその返事に


ぼうやは

へらっ

と笑った。


「さぁっ♪一緒に歌おっ♪」
「………はあぁっ!!?」


もう用は済んだでしょ、と言う前に


「歌おvV」


ぼうやの笑顔が


僕の言葉を遮断した。





その後


マオに抱きつかれた(←サレの歌声にうっとりした顔)まま、トーマを始末しにいったサレが居たとか。



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あとがき